2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23760557
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
円井 基史 金沢工業大学, 環境・建築学部, 講師 (80508341)
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Keywords | コケ植物 / 熱・水収支 / 蒸発散 / 結露 / 吸湿 / わび・さび / 心理評価実験 / 自生 |
Research Abstract |
■フィールド調査と暴露試験を通した人工被覆面上のコケの自生条件抽出:コケ種苗を吹き付けた保水性モルタルによる暴露試験(石川県野々市市)において、自生条件の要因を「水分」「材料」「日射」に分類した。約3年経過時点でコケ被覆率が最も高いのは「日陰下部浸水・種苗吹付あり」で約91%、最も低いのは「日向南向き・種苗吹付なし」で約3%であった。 ■屋外実験によるコケの熱・水収支特性と生育変遷の把握:スナゴケ試験体の乾燥過程における水収支特性を分析し、次の知見を得た。乾燥過程において午前8~10時前後に蒸発散量が最大となる傾向がみられた。これは芝生等での蒸発特性と同様の傾向である。気乾状態に近づくにつれて午後~翌朝の日の出にかけて試験体重量の増加が確認された。その要因として結露、吸湿(毛管凝縮)が考えられる。スナゴケの体積含水率18%以上において結露・吸湿は生じない。含水率3~7%で相対湿度50~60%以上のとき吸湿が生じる。気乾状態に近づくほど重量増加量が大きくなる傾向にある。これは乾燥状態ほど蒸発散量が少なくなるため結露、吸湿による重量増加が大きくなるためと考えられる。 ■心理評価手法によるコケのわび・さびへの影響把握:自由連想とインタビューを用いた心理評価手法により、わび・さびを感じる空間に対する認知構造を調査した。わび・さび文化に触れる機会の少ない一般人について「和・日本」「古さ」「茶道・茶室」「静かさ」「自然」「素朴さ」「季節」の概念がわび・さびを感じる空間において重要であると示された。また自然に溶け込むかのようなデザインがわび・さびを感じる空間に適していると考察した。わび・さび文化に馴染み深い職業に就く専門家では、一般人と共通した上位の概念として「古さ」「自然」「落ち着き」が抽出された。また淋しさや老いとわび・さびの認知との関係等について考察し知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通りに進展している。ただし当初は、既往の熱環境シミュレータに組み込む熱・水収支モデルを開発する計画であったが、屋外実験を進めるうちに、スナゴケ試験体において吸湿(毛管凝縮)と考えられる現象が新しく発見されたため、現在はその分析に注力している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究はおおむね当初の計画通り進展しており、今後も申請した計画に沿って研究を推進させる。上述したように、屋外実験を進めるうちに、スナゴケ試験体において吸湿(毛管凝縮)と考えられる現象が新たに発見されたため、その分析に注力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請した計画を推進させるよう研究費を使用する。なお、スナゴケ試験体で発見された吸湿(毛管凝縮)と考えられる現象の分析を進めるため、特に結露・吸湿量を測定する重量計を追加購入する予定である。
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Research Products
(4 results)