2012 Fiscal Year Research-status Report
河川・舟運を軸とした「感性価値」を最大化する都市デザイン
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23760596
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Research Institution | Niigata Institute of Technology |
Principal Investigator |
長 聡子 新潟工科大学, 工学部, 准教授 (70523653)
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Keywords | 河川 / 舟運 / 感性 / 都市型観光 / 景観 |
Research Abstract |
本研究では河川空間およびそこで運行する舟運を対象に、河川を軸とした都市デザインのあり方を「感性価値」の観点から提案することを目的としているため、本年度は「感性価値」の評価方法の確立に取り組んだ。特に五感に影響を与える要素を定量的に評価する方法を検討した。河川空間の景観等に関する既往研究では、写真画像を使用して心理評価を行っているものが多いが、当研究では被験者に河川空間や舟運を実体験してもらい、現地に身を置くことで感じられる五感を通じた感性についてアンケート調査を行ったところに特徴がある。その結果の一例として、視覚要素だけでは、緑が多く落ち着いた印象を与える阿賀野川中流において、水辺でのアクティビティ等が評価され、活動的な印象も与えることが分かった。また、昨年度からの継続調査である舟運タイプ別の河川の空間構成については、信濃川や阿賀野川、韓国ソウル市清渓川で実測調査により情報を収集し、連続断面図の作成や多変量解析を用いた定量分析により各河川の特徴を整理することが出来た。さらに、上述の被験者による心理評価と実測による物理量分析の関係性についても分析を進め、人の感性に刺激を与える空間構成要素の抽出に着手した。心理評価と物理量分析の関係性の分析方法については、サンプル数や対象とする空間構成要素の点で課題を残す結果となったため、次年度はより精度の高い手法を確立し、河川を軸とした感性価値を最大化する都市デザインモデルの提案を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度調査の不十分であった河川空間・舟運における「感性価値」の評価方法の検討、試行を達成することが出来、加えて、当初予定していた河岸遊歩道型の韓国ソウル市清渓川での現地実測調査や河口型の新潟市信濃川での現地実測調査を達成することが出来たため、おおむね順調に進展しているものと評価できる。 また、今年度までの研究成果の社会還元として、2月に福岡市で開催されたシンポジウムで報告・情報提供を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、今年度検討、試行した五感に影響を与える要素を定量的に評価する「感性価値」の評価方法の精度を高め確立を目指す。この現地調査および分析には新潟工科大学の学生の協力を得て効率的に進めるよう努める。 第二に、今年度からの継続調査として、舟運のタイプ別の河川空間実例調査(主に福岡県柳川、新潟県信濃川、米国サンアントニオ等)および基礎データ収集を実行し、各実例の特徴分析および感性価値の評価方法を適用した分析を進める。 第三に、当該研究最終年度の総括として、河川を軸とした感性価値を最大化する都市デザインモデルの提案を目指す。なお海外調査については、準備段階で現地調査に支障をきたすと判断した場合は、代替調査地として大阪市中之島周辺等に変更することとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まず、過去2年間に実施した現地調査の補足調査(主に福岡県柳川、新潟県信濃川)を学生引率の上で実施する予定としている。また、その現地調査に携行するためのノートパソコン等の購入を予定している。加えて、当初の計画の通り、舟運・河川空間を活かした都市デザインの成功代表例(主に米国サンアントニオ、ポルトガルポルト等)の文献・資料収集や現地調査に研究費を充てる計画としている。 また、これまで進めてきた研究内容の発表や関連分野の研究者との意見交換を行うため、8月末に開催される日本建築学会大会(北海道)や1月に開催される国際学会AURG(大分県)への参加旅費としても使用する予定である。
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Research Products
(1 results)