2012 Fiscal Year Research-status Report
核燃焼・高圧力プラズマに向けた磁気流体不安定性とその相互作用に関する実験解析研究
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23760818
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
松永 剛 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (10391260)
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Keywords | 核燃焼・高圧力プラズマ / 磁気流体不安定性 / 高エネルギー粒子 / 周辺プラズマ / 周辺局在化不安定性 / 測地線音波不安定性 |
Research Abstract |
本研究課題では高圧力・核燃焼プラズマで発生が予想されプラズマの閉じ込め性能に影響を及ぼすと考えられる高エネルギーイオン駆動モードおよびMHD モードとそれらの相互作用に着目して研究を進めている。当該年度においては、初年度(H23年度)に引き続き、これまでJT-60において得られたデータ解析を進めつつ、研究計画通り米国GA社DIII-D装置において実験提案を行いデータを取得した。当該年度は、引き続き高エネルギーイオン駆動モードとプラズマ周辺で間欠的にエネルギーを放出するELMの相互作用、特にELM誘発のメカニズムに着目してデータ解析を進めた。今回の実験及びデータ解析で、高エネルギーイオン駆動モードが単一の波長(トロイダルモード数)ではなく、その高調波を伴って振動しており、高エネルギーイオンの輸送がその歪んだ振動によって増加すること、輸送された高エネルギーイオンが周辺のMHD安定性に影響する可能性があることが分かった。この成果は第24回IAEA核融合エネルギー会議にて口頭発表した。これ以外に、JT-60において観測されたトロイダル軸対称モードについてデータ解析を進めた。このモードも高エネルギーイオンによって駆動されたと考えられており、高閉じ込めモード(Hモード)への遷移と深く関係のある測地線音波モード(GAM)の可能性がある。詳細な空間構造の解析により、その磁場揺動がポロイダル方向に二周期の幅を持つ定在波として振動していることを明らかにした。この結果は、第39回欧州物理学会プラズマ分科会にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の主な研究目標は、①高エネルギーイオン駆動モードによるELM誘発について、DIII-Dで比較実験を実施すること、②高エネルギーイオン駆動モードによる高エネルギーイオン輸送のモデリングおよび各種コードによるMHD安定性解析の実施、③高エネルギーイオン駆動モードの成長・減衰の鍵となるパラメータの同定であった。①については、DIII-Dでの2回にわたる外国出張実験参加(前倒し請求にてH25年度の参加予定を繰り上げ)により得られたデータとJT-60既存データ解析とその比較から、ELM誘発にかかわる高エネルギーイオン駆動モードの性質、すなわち高調波成分による歪が大きく高エネルギーイオンの周辺への輸送に影響していることを明らかにできた。②については、得られたデータから線形のMHD解析コードMARS-Fによって高圧力プラズマでは、複数の波長のモードが同時に発生可能であることを示唆する結果を得ることができた。③については高エネルギーイオンの軌道を数値計算で求めることで、モード励起について現在調査を進めている。当初計画以外に、JT-60において観測された高エネルギーイオンによって駆動されたと考えられる測地線音波モード(GAM)についての解析を進め、国際会議で報告するなど、研究計画を逐次拡張しながら研究を進めており、本研究課題が研究計画に則しておおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度においては、引き続き研究計画通り研究を実施するとともに、前倒し支払い請求によりH24年度に繰り上げて実施した米国GA社DIII-D装置における実験(H25年度実施予定)で必要なデータを取得していることもあり、今年度はデータ解析とそれをもとにしたモデリングなどを実施する。特に、高エネルギー駆動モードによる高エネルギーイオンの輸送や輸送された高エネルギーイオンがMHD安定性に及ぼす影響について、詳細なデータ解析を進めるとともに数値計算結果との比較からそのメカニズムを明らかにする。また、高エルギー粒子駆動の測地線音波モードについても、高エネルギーイオンの実空間・速度空間分布を数値計算で求め、モードの発生機構について実験データとの比較を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度の研究費は、おもに研究に必要な消耗品の購入および論文出版にかかわる経費として使用する。
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