2011 Fiscal Year Research-status Report
脊椎動物新規紫外線受容タンパク質の機能発現メカニズムの解析
Project/Area Number |
23770074
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 高廣 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50378535)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 光受容 / 蛋白質 / 紫外光 / 脳・神経 |
Research Abstract |
ヒトを含む脊椎動物に広く見いだされる光受容タンパク質であるOpn5は、2002年に単離されたもののその分子特性や生理機能が未知であった。Opn5は、哺乳類は1種類(Opn5m)しか遺伝子を持たないが、哺乳類以外の脊椎動物はそれ以外に2種類(Opn5L1とOpn5L2)の遺伝子を持つことがわかっている。研究代表者は最近、ニワトリOpn5mの分子特性を解析し、紫外光を受容しGタンパク質を活性化することを見いだした。また、ニワトリにおいて網膜のアマクリン細胞・神経節細胞、松果体、視床下部の室傍器官に発現を確認した。以上の研究背景の元に、本研究課題ではOpn5の機能発現メカニズムを網羅的に解析することを目的とし、本年は以下の成果を得た。1.ニワトリOpn5L2の分子特性の解析を行った。その結果、Opn5m同様に紫外光の受容能があり、可視光受容状態に変換した後Gタンパク質を活性化することがわかった。しかし、両者ではGタンパク質活性化状態の吸収極大が約50nm異なっていた。さらに、ニワトリOpn5L2は、網膜のアマクリン細胞・神経節細胞、視床下部の一部、副腎に発現することを見いだした。これらの組織の中には光受容器官とは考えられないものもあり、光受容以外の機能に関わる可能性が考えられた。2.ヒト、マウス、カエル、ゼブラフィッシュのOpn5mのリコンビナント体を培養細胞で作製・精製することに成功し、すべてニワトリOpn5mと同様に紫外光感受性であることがわかった。つまり、Opn5は脊椎動物における紫外光受容の共通分子基盤を提供できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年の研究実施計画通り、ニワトリの他のサブタイプのOpn5、さらには他の動物のOpn5mの分子特性の解析に成功しており、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ニワトリの3つのOpn5サブタイプのうち、残り1つのOpn5L1の分子特性解析を進める。また、Opn5サブタイプ間の分子特性を比較し、その違いを生み出すアミノ酸残基の同定など分子メカニズムを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究を推進するための設備備品はほぼ揃っている。そこで、試料調整・解析のために必要な、遺伝子関連・細胞培養関連・分光解析関連の消耗品を購入する。また、研究成果を発表するための旅費として使用することを計画している。
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Research Products
(8 results)