2014 Fiscal Year Research-status Report
石油備蓄基地施設から分離した腐食菌およびその他新規微生物の微生物分類性状の解析
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23770095
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
飯野 隆夫 独立行政法人理化学研究所, バイオリソースセンター, 研究員 (50550323)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 微生物腐食 / 鉄腐食 / 鉄酸化 / 硝酸還元 / Prolixibacter / Bacteroidales / 原油 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、細胞形態、生理・生化学性状、化学分類性状、分子遺伝学性状の解析を終えたProlixibacter sp. MIC1-1株と近縁の既知種であるProlixibacter bellariivoransの性状を比較した。その結果、Prolixibacter sp. MIC1-1株は細胞形態、硝酸塩還元能などの点からP. bellariivoransとは性状が異なっていた。16S rRNA遺伝子の相同性も97.5 %と低かったことから、MIC1-1株をProlixibacter属の新種として提唱することとした。MIC1-1株に対し、Prolixibacter denitrificansを命名し、現在、論文投稿中である。 鉄腐食性硝酸塩還元菌Prolixibacter sp. MIC1-1株に系統的に近縁であったProlixibacter sp. MIC1-4株の鉄腐食能を解析した。MIC1-1株同様、MIC1-4株は硝酸塩 (電子受容体) と酵母エキス (炭素源) 存在下で金属鉄 (Fe0) を腐食した。Prolixibacter属の唯一の既知種であるP. bellariivorans JCM 13498(T)は鉄腐食能を有していないことから、Prolixibacter属細菌は属レベルの特徴として鉄腐食能を有してはいないが、種レベルもしくは菌株個々のレベルで広く鉄腐食能を有していると考えられる。 鉄腐食菌の微生物資源ライブラリー構築のために、解析用PCにARBをインストールした。SILVAのデータセットを取り込んだ後、約14万の16S rRNA遺伝子データから、信頼性の高い既知種12516株のデータをマニュアルで選定した。残る環境クローンデータや不良データを全て削除し、これを基礎のデータセットとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度までに、Bacteroidales目に属する鉄腐食菌および鉄非腐食菌計4株を純粋分離し、それらの細胞形態、生理・生化学性状、化学分類性状、分子遺伝学性状の解析を終えた。過去に発見した‘Prolixibacter denitrificans’ MIC1-1株に加え、新たにProlixibacter sp. MIC1-4株も鉄腐食能を有することが明らかとなった。 微生物資源ライブラリー構築のためのデータセット作成では、データ量が膨大であった中、不足データの追加、不良データの削除、アライメントの見直しが多く、当初予定より時間を要した。しかし、基礎となるデータセットの作成を終え、全体の達成度としてはおおむね順調に進展していると捉えている。
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Strategy for Future Research Activity |
作成した16S rRNA遺伝子データセットに、本研究で取得した分離株のデータを加える。金属腐食菌を簡便に検索できるよう、菌株情報にフラグを立てる。また、ARBのデータセットの精度を確認するため、Neighbour-joining (NJ) 法、Maximum-likelihood (ML) 法、Baysean法を利用して、多方面からの系統解析を行う。
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Causes of Carryover |
平成23年度から平成25年度にかけて、石油施設関連試料からの分離株の中から鉄腐食菌2株、鉄非腐食菌3株を選抜し、形態学的特徴、生理・生化学性状、化学分類額性状、分子系統位置を決定した。これの実験の進捗が予定より良好であったこと、また、これら供試菌株に近縁の微生物に関する論文が散見されるようになったことから、論文投稿を優先させたため、未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本課題で得た研究成果の外部発表に使用する予定である。
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[Journal Article] Description of Mariniphaga anaerophila gen. nov., sp. nov., a facultatively aerobic marine bacterium isolated from tidal flat sediment, reclassification of the Draconibacteriaceae as a later heterotypic synonym of the Prolixibacteraceae and description of the family Marinifilaceae fam. nov.2014
Author(s)
Iino, T., Mori, K., Itoh, T., Kudo, T., Suzuki, K. and Ohkuma, M.
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Journal Title
International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology
Volume: 64
Pages: 3660-3667
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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