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2011 Fiscal Year Research-status Report

ウイルスセンサータンパク質RIG-Iの機能解明および医学的応用

Research Project

Project/Area Number 23770113
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

高橋 清大  京都大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (90399965)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords自然免疫 / I型インターフェロン
Research Abstract

本年度はRIG-IのX線結晶構造解析が他グループによりなされたこともあり、研究の大きな変更を余儀なくされた。そこで本年度はRIG-Iの活性化機構について再度検討を行った。 本研究では、RIG-I抑制機構解明のアプローチの一つとして、RIG-Iの中に新たな活性化の鍵となる領域を発見し、その機能解明を行った。これはヘリカーゼドメインとCTDの間に位置する領域であり、二次構造予測プログラムからはアルファへリックスに富んだ構造を持つことが予想される。この領域を細胞に一過性発現させるとRIG-Iの機能は優位に阻害され、ウイルス感染に際するI型IFN誘導が抑制されることがわかった。また、へリックス構造を維持できないように変異を加えたRIG-Iは細胞内で恒常的に活性化状態となり、自己抑制が働かなくなることがわかった。この知見から、我々はこの領域を自己抑制ドメインと名付けた。通常RIG-Iは1、ウイルスRNAのCTDへの結合、2、ヘリカーゼドメイン内のATP-ase活性による構造変化の誘導、3、CARDの提示が活性化のステップであると考えられている。しかしながら我々の作成した恒常活性化変異体は、RNA結合能は保持しているが、ATPase活性を介した構造変化を必要とせずにCARDを提示し得ることがわかった。この結果から、RIG-Iは自己抑制ドメインにより、CARDを介した下流へのシグナル伝達を阻害していること。また、ウイルスRNA結合時のRIG-Iの構造変化を司っていると考えられる。最近、CTDを欠いたRIG-IのX線結晶構造解析による立体構造が報告された。しかしながら、この構造からは自己抑制ドメインがいかにして構造変化を抑制しているのか、説明できないことも多い。今後のより詳細な機構の解明を課題としたい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の目的はRIG-Iの活性化機構をX線結晶構造解析により決定することである。またこの知見を用い、RIG-Iを多量体化させることでI型インターフェロンを作り出す新薬の開発であった。しかしながら、現段階までにこの計画については達成されていない。X線結晶構造解析にはタンパク質の結晶化が必要であり、本研究では現在までに結晶が得られず進捗がない状況である。 また、他グループによるX線結晶構造解析の結果が2011年に既に報告されてしまっている。この結果は、【今後の研究の推進方策 等】に記すように、計画そのものを大きく変更せざるを得なかった。 本年度の業績はRIG-Iの活性化機構について、自己抑制機構の解明を行ったものである。これは今後の研究において重要な知見であることは変わらず、これを元にさらなる研究を行っていきたい。

Strategy for Future Research Activity

すでにRIG-IのターゲットRNAのある場合、無い場合両方の状態のX線結晶構造解析が他グループにより報告されてしまっているため、計画自体を見直さなくてはならない。このために、現在は再度RIG-Iの活性化機構の見直しを行っている段階である。 現在、既に報告されている構造における我々の結果との最も大きな相違は、RIG-IがウイルスRNAの末端構造を認識するか否かにある。我々の結果からはRIG-IはCTDを用いてウイルスRNAに結合するが、その際末端以外の構造、具体的には二重鎖RNAの中心部位も認識している可能性が高いことがわかっている。しかしながら、X線結晶構造解析における結果からはCTDを用いてRNA認識を行うことは確かであるが、その際ウイルスRNAの二重鎖RNAのリン酸基のついた末端、もしくは平滑な末端を認識すると考察されている。 RIG-I研究においてウイルスRNAをいかに認識するかは、研究を進めるうえで根幹的な問題となっており。この解決を行っていきたい。また、結晶構造からは末端構造を認識するために一つのRNAに結合しているRIG-Iの数は二つである。しかし複数のRIG-Iが多量体化すること自体が必要であることも我々の研究からは推測されている。この多量体化が本研究における創薬における課題であるため、この問題をはっきりさせる必要がある。 この知見から、組み換えタンパク質によるRIG-Iを用いた、多量体化の実験、RNA結合実験を進め、その結果から再度本計画を見直し、推進する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度の研究費は引き続き、タンパク質精製用の試薬、液体クロマトグラフィー用のカラムの購入に用いる。また、研究計画の変更に伴い必要な経費に充てる予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 55 Amino acid linker between helicase and carboxyl terminal domains of RIG-I functions as a critical repression domain and determines inter-domain conformation2012

    • Author(s)
      Kageyama, M. Takahasi, K. Narita, R. Hirai, R. Yoneyama, M. Kato, H. Fujita, T.
    • Journal Title

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      Volume: 415 Pages: 75-81

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2011.10.015

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ウイルスセンサータンパク質RIG-Iの自己抑制ドメインの同定2012

    • Author(s)
      高橋清大
    • Organizer
      第3回 ナノバイオ創薬研究シンポジウム
    • Place of Presentation
      京都大学(京都府)
    • Year and Date
      2012年3月14日
  • [Book] ナノバイオ技術と最新創薬応用研究2012

    • Author(s)
      高橋清大
    • Total Pages
      4
    • Publisher
      自然免疫における構造 - 機能相関

URL: 

Published: 2013-07-10  

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