2014 Fiscal Year Research-status Report
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23770157
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
山田 康之 立教大学, 理学部, 准教授 (80386507)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 酸化的リン酸化 / 調節 / ATP |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究から、枯草菌細胞膜上のATP合成酵素の量が少なく、ホロ酵素の生化学的な解析が困難であると考えられたため、大腸菌を宿主とした枯草菌ATP合成酵素の大量発現系を構築することとした。発現効率を上げるための変異や、タグの導入などを行った、オペロン全長を含むクローンの単離に時間がかかったが、ようやく発現プラスミドの作製に成功した。本プラスミドを大腸菌に導入し、大腸菌細胞膜上で枯草菌ATP合成酵素が機能的に発現することを確認した。単離した反転膜のSDS-PAGEにより、BF1のα、βサブユニットのバンドを確認することができた。しかしながら、得られた大腸菌反転膜小胞に含まれる枯草菌ATP合成酵素の活性は、枯草菌反転膜と比較しても低かった。タンパク質量が多いにもかかわらず、活性が低かった事から、発現条件が悪く、不完全な形の複合体が多く含まれているものと考えられた。 宿主大腸菌の種類、培養条件、集菌のタイミング等を検討した結果、比較的活性の高い状態で、発現する条件を見出す事ができた。現在この条件で調製した枯草菌ATP合成酵素の基本的な性質を調べている。枯草菌由来のものと同様の性質を持つことが確認できたら、枯草菌ATP合成酵素を大量調製し、生化学的な実験を行う予定である。
この他、枯草菌F1-ATPaseのDELSEED領域とεサブユニットによる調節の関係の解析を行った。
投稿中であった枯草菌F1-ATPase(BF1)の強いADP阻害とαサブユニットにある非触媒部位へのATP結合によるADP阻害の回復の関係を調べた結果をまとめた論文を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
枯草菌ATP合成酵素の活性調節の基本的な部分は、好熱菌ATP合成酵素のものと類似していると考えていたが、実際は大きく異なり、詳細な解析に時間を要した。また、枯草菌形質膜に含まれるATP合成酵素量が少なかった事から、生化学的な解析は困難であると考え、大腸菌発現系を作製し、これを用いる事としたが、その作業に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸菌を宿主とした発現系を用いた生化学的な解析、および当初の予定にある枯草菌を用いたin ivoでのATP合成酵素活性調節の解析を行う。
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Causes of Carryover |
枯草菌ATP合成酵素の活性調節の基本的な部分は、好熱菌ATP合成酵素のものと類似していると考えていたが、実際は大きく異なり、詳細な解析に時間を要した。一方、枯草菌形質膜に含まれるATP合成酵素量が少なく、ホロ酵素の生化学的な解析が困難であると考えられたため、大腸菌を宿主とした大量発現系を構築し、これを用いることとしたが、発現系の構築に時間を要した。これらの遅れにより、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
大腸菌を宿主とした枯草菌ATP合成酵素ホロ酵素の大量発現系はほぼ完成しているので、これを用いた生化学的な解析、および当初の予定にある枯草菌を用いたin vivoでのATP合成酵素活性調節の解析を行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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