2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23770171
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊島 健児 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (50569142)
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Keywords | 生体内メージング / 小胞輸送 |
Research Abstract |
私は、高出力レーザーと高開口数レンズを備えた、スピニングディスク共焦点顕微鏡から構成される高解像度イメージング装置を開発し、量子ドットにより標識された好中球がマウス耳介内において遊走する様子を非侵襲観察することに成功した。更に、好中球表面に結合した量子ドットは好中球内へとエンドサイトーシスされ、この好中球内での小胞輸送を観測することも可能であった。測定の結果、小胞輸送は4μm/secと、in vitroで観測されるモータータンパク質の運動速度をはるかに超える速度で行われていることが明らかとなった。この機構を解明すべく、私は、精製した好中球においても、小胞を量子ドットによって標識する手法を開発することに成功した。精製された好中球内部においても高速での小胞輸送は観測されたが、その輸送速度は小胞のサイズに依存することが判明した。 また、これまでに当研究室では、バルセロナ大学のM. Montes-Usategui氏との共同開発により、レーザートラップの透過光を後焦点面においてフーリエ変換することにより、大きさの不明な物質に関しても発生する運動量の変化を測定できる顕微鏡を開発した。しかし、このシステムにより計測される力は、これまでタンパク質の力測定に用いられていた系との比較がなされておらず、その信頼性や精度について問題があった。そこで、本年度は、このシステムをより高精度なものに改良を行うと同時に、従来から用いられてきたビーズの変位を測定することによって力を測定する方法と、この後散乱により運動量を測定するシステムとの比較を行い、この系の各種パラメーターについてのキャリブレーションを行った。これまでに、Hela細胞中における小胞輸送の力は2-38pNと広く分布していることを計測したが、今後、この系を応用することで、好中球内における高速小胞輸送機構の解明が進むものと期待される。
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