2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規平面脂質膜を用いた細胞膜分裂装置divisomeの形成過程と構造の解明
Project/Area Number |
23770173
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
奥野 貴士 山形大学, 理学部, 准教授 (80411031)
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Keywords | 細胞膜 / 平面脂質膜 / 膜タンパク質 |
Research Abstract |
膜分裂時には、複数の膜タンパク質が巨大な複合体を形成し、分裂を駆動する。本研究は、バクテリアの内膜成分を含む新しい平面モデル膜を開発し、巨大膜タンパク質複合体の構造解析を目的とし、研究を実施してきた。これまでに、主として、次の2つの実験を検討してきた。1)蛍光ラベルした膜分裂を制御する膜タンパク質の調製 2)大腸菌の細胞膜成分を平面状に展開した新しいモデル膜構築これまでに、蛍光タンパク質を融合した膜タンパク質(FtsZ,ZipA,FtsA,FtsK)の大量発現系の構築を行い、蛍光イメージング可能な量のタンパク質の発現条件を構築する事が出来た。一方、細胞膜成分を利用した平面膜の開発に取り組んで来たが、細胞膜の脂質成分は平面膜に分配されるが、膜タンパク質が効率良く平面膜に入らない事がいくつかのGFP融合タンパク質を使った実験で明らかとなった。本研究のポイントは、細胞膜成分をフラットな平面膜として、蛍光顕微鏡やクライオTEMによるイメージング解析に適したモデル膜作製にある。大腸菌の内膜成分を用いた方法では、標的とする膜タンパク質が平面膜に分配されないため、幾つかの生物種由来の細胞膜で、イメージング解析可能な平面モデル膜の調製方法を検討した。その結果、ヒト培養細胞由来の細胞膜成分を数μmの範囲に基板上に展開出来ることを見いだした。研究期間中に新たに開発した平面モデル膜は、膜タンパク質成分を含み、モデル膜として適している事が分かった。作製した平面膜の原子間力顕微鏡による構造観察や脂質の側方拡散定数などの膜構造、物性の情報を得ることができた。研究期間内において、当初の研究目標を全て達成する事が出来なかったが、これら研究により、バクテリアの膜分裂装置だけではなく、ヒトの巨大膜タンパク質複合体の構造/機能解析に繋げる事が期待される成果を得る事ができた。
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Research Products
(7 results)