2011 Fiscal Year Research-status Report
休眠段階におけるリボソームのタンパク質合成抑制機構の解明
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23770206
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 貴之 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (20423155)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 細胞休止期 / 単粒子像解析 / 低温電子顕微鏡 / 構造解析 / 100Sリボソーム |
Research Abstract |
地球上のほとんどの生物は常に飢餓状態に置かれており、過酷な生存競争を生き抜いてきた生物は飢餓耐性機構を備えている。微生物も例外ではなく、その耐性機構の一つがリボソームの2量体化によるタンパク質合成の抑制である。 グラム陰性菌、陽性菌共に、飢餓的ストレスに曝されると、70Sリボソームが2量体化した100Sリボソームを形成し、タンパク質の合成を抑制することが知られている。そこで、グラム陽性菌である黄色ブドウ球菌の100Sリボソームを精製し、低温電子顕微鏡を用いて構造解析を行った。その結果、大腸菌の場合と同様、2つの70SリボソームはどちらにもtRNAが存在しておらず、2つの70Sリボソームはお互いの30Sを介して2量体化していた。しかし結合部位は大腸菌とは大きく異なり、mRNAの出口にほど近い位置であることが明らかとなった。これは、グラム陰性菌のの場合、互いのmRNAの入り口を互いのS2タンパク質が塞ぐことでmRNAの結合をふさぎ、タンパク質の合成を抑制しているのに対し、グラム陰性菌の場合は出口をふさぐことで合成を抑制していることが示唆されてた。これは、飢餓的ストレスに対する応答において、2種類の細菌は、70Sリボソームの2量体化によってタンパク質合成を抑制することは同じなのに、そのメカニズムがまったく異なっていることを示唆している。 100Sリボソームの形成は、大腸菌の場合はRMF、HPFという2種類のタンパク質によって、黄色ブドウ球菌の場合HPFのホモログであるSaHPFというタンパク質によって形成される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試料調製を100Sリボソームの発見者である和田氏、上田氏に依頼した。両氏はこれまで100Sリボソームに対する生化学的な研究を行っており、世界で最も多くの100Sリボソームの情報を持っているため、試料調製等での問題点を即座に解決することができた。また、本研究で得られた情報をフィードバックすることにより、当初に考えていた実験方法よりも優れた実験方法を考案することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
100Sリボソームは、大腸菌の場合はRMF、HPFという2種類のタンパク質によって、黄色ブドウ球菌の場合HPFのホモログであるSaHPFというタンパク質によって形成される。100Sリボソームの結合様式は、これらの因子によってのみ決定されいると考られる。そこで、RMF、HPFを持つ他の菌体の100Sリボソームの結合様式を解析し、同様にSaHPFを持つ菌体の100Sリボソームの結合様式を解析する。また、RMF、HPFを持つ菌体から70Sを精製し、そこにSaHPFを精製して混合することで、100Sリボソームが形成されるかを評価し、その構造がどちらの結合様式であるかを解析することで、前述の仮説を証明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の実験を進めるための少額備品および消耗品:30万学会参加のための国内、国外旅費:50万円論文掲載費:20万
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Research Products
(19 results)