2012 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母におけるゲノム工学技術の開発とゲノムエボリューション
Project/Area Number |
23780080
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉山 峰崇 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80379130)
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Keywords | 部分異数性 / ゲノム / 育種 / 出芽酵母 |
Research Abstract |
本研究では、産業上重要な微生物である出芽酵母を材料にして、独自に開発したゲノム工学技術を駆使し、細胞の多様な特性を生み出す原動力となる染色体の部分重複および部分欠失をシステマティックに導入し、染色体の部分異数性と細胞特性の関連を解析することを目的とした。 染色体の部分重複実験については、使用していた親株に異常が見られたことから、昨年度までに構築した部分重複株についても新たに構築し直し、第1番-7番および第10番-16番染色体の部分重複を行った。新たに、第1番染色体[1bp-100kb]の重複は硫酸ストレス耐性を付与し、第3番染色体[1bp-160kb]と[160kb-315kb]の重複はエタノールおよび硫酸ストレス耐性を付与することを見出した。部分重複染色体の安定性を調べたところ、非常に安定に保持されることが分かった。 染色体の部分欠失実験については、欠失予定領域がミニ染色体化された1倍体細胞を構築し、野生型株との2倍体形成後、ミニ染色体の脱落によって部分欠失株を構築するという方法に切り替え、第8番、13番、14番、15番、16番染色体の部分欠失を行った。第14番染色体[600kb-800kb]の部分欠失により、高温耐性とエタノール耐性を付与することが明らかとなった。一方、1倍体細胞における非必須遺伝子領域の欠失実験からは、第4番染色体[1bp-30kb] 、[1470kb-1490kb]および[1500kb-1530kb]の欠失が高温や乳酸耐性を付与することも明らかとなった。 酵母のエタノールや酸、高温ストレス耐性化は、発酵生産の高効率化に重要となる。「ゲノムの特定領域の部分重複・部分欠失による細胞機能の飛躍的な改良」という本研究の成果は、新たな微生物育種法の確立につながることから、真核細胞のゲノムの機能解明に資するだけでなく、発酵産業の発展にも貢献すると期待される。
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Research Products
(10 results)