2012 Fiscal Year Annual Research Report
シリカ微粒子を用いたワンステップなタンパク質発現・精製システムの創成
Project/Area Number |
23780085
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤野 泰寛 九州大学, 基幹教育院, 助教 (70582659)
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Keywords | タンパク質発現 / シリカ / Thermus |
Research Abstract |
応用微生物学、生化学の分野に限らず、多様な分野において組み換えタンパク質の生産・精製システムは必須の基盤技術であり、安価かつ簡便な技術が求められている。本課題ではThermus属細菌の有するシリカ誘導性プロモーターと大腸菌で報告のあるシリカ結合タンパク質を用いて、異種タンパク質の誘導産生とその精製を同時に行うシステムの構築を目標とした。 Thermus属細菌において我々の報告したシリカ誘導性のプロモーターは、σAタイプのプロモーターと相同性があり、シリカ添加時に約20倍の転写増大が認められた。DNAマイクロアレイ解析により、シリカ添加時に転写増大する遺伝子群には鉄取り込みに関与する遺伝子群が多く認められたため、鉄欠乏培地でもDNA マイクロアレイ解析を行ったところ、シリカ添加時と同様の応答を示し、シリカ添加によって鉄欠乏が起こっていることが強く示唆された。鉄取り込みの制御はFur(Ferric uptake regulator)によって行われるため、シリカ誘導性プロモーター領域をプローブとしたゲルシフトアッセイを行ったところ、Thermusゲノム上に存在する3つのFurホモログ(TTHA0255,TTHA0344,TTHA1292)のうちTTHA0255産物に対して有意のシフトが確認された。このため、シリカ誘導性プロモーターはFurによる制御を受けるものと推察された。 大腸菌においてもFur制御を受けるプロモーターがシリカで誘導を受けるものと推察し、FhuA上流のプロモーターを利用した発現ベクターを構築したところ、シリカ添加時に20倍程度の転写増大が認められ、シリカ誘導性発現ベクターを構築することに成功した。今後、シリカ結合タグを付与し、発現と精製を同一チューブ内で効率的に行える条件の検討が必要である。
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