• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2012 Fiscal Year Research-status Report

絶滅危惧種ハナノキに激発する斑点性病害の防除を目指す

Research Project

Project/Area Number 23780168
Research InstitutionTokyo University of Agriculture

Principal Investigator

本橋 慶一  東京農業大学, 地域環境科学部, 助教 (10527542)

Keywordsハナノキ / Phyllosticta minima / 同定 / 樹木病害 / 診断 / Acer pycnanthum
Research Abstract

レッドリスト絶滅危惧II類種に指定され、且つ日本固有種であるカエデ科ハナノキの葉に植物病原菌Phyllosticta属の関与が疑われる斑点性病害が長野県、岐阜県、愛知県で激発している。この病害に関する研究は国内では全く行われていない。そこで貴重種ハナノキの保全を目的として病害防除の基礎資料および迅速で的確な診断を行う技術を構築し、本病害防除の確立を目的として研究を行っている。
<本年度の研究目的> 本年度は、引き続き長野県内におけるハナノキ自生地および岐阜県、三重県の植栽地の病害調査を行い、被害状況の継続調査と病原性確認のための接種試験、迅速な診断を行うための特異的プライマーの設計を行った。
<本年の研究結果>これまで調査を行ったハナノキ自生地の長野県飯田市下伊那郡阿智村伍和の2カ所、同市箱川、大町市大町の4カ所におよび岐阜県岐阜市1カ所および三重県津市1カ所の植栽地にて調査を行った結果、昨年同様いずれの地域でも同様の斑点性病害が認められ、病害標本を収集した。いずれの地域でも、Phyllosticta minima (Berk. & M.A. Curtis) Underw. & Earleが検出され、東海4県での発生が確認された。今回の調査でも、罹病していない健全なハナノキは観察されず、その病害の深刻さ再認識すると共に、早急な病害防除の必要性が考えられた。本菌の病原性を確認するために健全なハナノキ苗に接種試験を行った。その結果、無傷で胞子噴霧した試験区のみで源病徴を再現し、接種菌が再分離され、国内で初めて病原性が確認された。迅速な診断と病原菌の感染源を解明する目的で、遺伝診断を行うための特異的プライマーの設計を行った。現在、純粋な分離菌株で検出可能なレベルまで進んでいるものの、野外での試験について今後、適用および方法について検討する必要がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ハナノキはカエデ科に属する落葉樹で、レッドリスト絶滅危惧II類種に指定されている日本固有種でもある。申請者は、ハナノキの葉に植物病原菌Phyllosticta属の関与が疑われる斑点性病害が長野県、岐阜県、愛知県および三重県で激発していることを病害標本採集により認めた。この病害に関する研究は国内では全く行われておらず、その発生報告および病名も与えられていない。そこで本研究では、ハナノキの保全を目的として病害防除の基礎資料および迅速で的確な診断を行う技術を構築し、本病害防除の確立を目的として研究を行っている。
平成24年度の研究では、長野県、岐阜県および愛知県で得られたハナノキ病害標本からの分離菌株を用いて、病原性を確認するための接種試験を行った。その結果、国内で初めてハナノキに寄生しているPhyllosticta minima (Berk. & M.A. Curtis) Underw. & Earleに病原性があることを明らかにし、第124回森林学会大会に公表した。また、病原菌の感染ルートおよび感染源の特定に分子生物学的手法を用いて迅速で的確な診断を行うために、特異的プライマーの設計を行った。現在までに、純粋な培養株を用いた実験では他の10数種のPhyllosticta属菌から、Phyllosticta minimaだけを検出することが可能となった。今度は野外にて検出が可能かどうか、また、検出するための技術開発が必要であると考えられた。
本年度は、ハナノキに寄生しているPhyllosticta minimaの病原性を確認することができ、その成果を公表することができた。また、分子生物学的手法についての研究も概ね良好な結果を得ており、ほぼ計画通りに研究を進め、初期目的を達成した。従って、24年度の研究はおおむね順調に進展している。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究として24年度の研究結果から得られたPhyllosticta minima特異的プライマーを用いて、野外にて検出可能かどうかの実証、また、検出方法の確立が必要である。
申請者はこの問題点を以下の方策によって行うものとする。
・ 野外で得られた罹病葉および枝を採集し、感染源の特定を行うために培養による検出を行う。
・ 分子生物学的手法による感染源特定のために、得られた試料を用いて検出方法を確立する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度には主に次の研究を行う予定である。
・ 病害標本収集のための調査。
・ 感染源解明のために特異的プライマーを用いた検出。
以上の研究を遂行するために、研究費は主に、病害調査の旅費、試薬および遺伝子研究のための試薬、実験機器、関連図書の購入に使用する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2013 2012

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] Phyllosticta minimaによるハナノキ褐色円斑病(新称)2013

    • Author(s)
      本橋慶一,早田祐介,中島千晴,河辺祐嗣
    • Organizer
      第124回日本森林学会大会
    • Place of Presentation
      岩手大学
    • Year and Date
      20130325-20130328
  • [Presentation] The emerging disease of Japanese endemic tree species, Acer pycnanthum2012

    • Author(s)
      Keiichi Motohashi, Yusuke Hayata, Natsumi Miyazawa, Chiharu Nakashima
    • Organizer
      FFTC-TUA Joint Symposium 2012
    • Place of Presentation
      Tokyo University of Agriculture
    • Year and Date
      20121019-20121022

URL: 

Published: 2014-07-24  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi