2013 Fiscal Year Annual Research Report
絶滅危惧種ハナノキに激発する斑点性病害の防除を目指す
Project/Area Number |
23780168
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
本橋 慶一 東京農業大学, 地域環境科学部, 准教授 (10527542)
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Keywords | ハナノキ / Phyllosticta minima / 同定 / 病害 / 診断 |
Research Abstract |
レッドリスト絶滅危惧II類種に指定され、且つ日本固有種であるカエデ科ハナノキの葉に植物病原菌Phyllosticta属の関与が疑われる斑点性病害が自生地を中心に中部地域で激発している。この病害に関する研究は国内で全く行われていない。そこで貴重種ハナノキの保全を目的とし病害防除の基礎資料および迅速で的確な診断を行う技術を構築し、本病害防除の確立を目的として研究を行った。 野外調査から中部地域でのハナノキ自生地および植栽地において、本病害が激発していることが明らかとなった。加えて、神奈川県および茨城県のハナノキ植栽地においても本病害発生が確認され、被害が広域である状況が判明した。本病害の病原性の確認のために接種試験を行った結果、胞子懸濁液による接種試験でのみ病徴が再現され、病原性が確認された。続いて、菌種の同定を行い、これまで北米でのみ報告されていたPhyllosticta minimaと同定され、本病原菌は国内で初記録となった。一連の研究成果より、P. minimaによるハナノキの病害を「褐色円斑病」と呼称することを提案した。本病害の感染源の特定および迅速で的確な診断を行うために、本病原菌を検出するための精度の高い種特異的プライマー設計を試みた。結果、純粋な分離菌株を用いた試験では成果が得られたものの、罹病木も含めたサンプルから特異的に病原菌を検出することができず、今後の課題となった。そこで、罹病木の組織分離による本病原菌の検出を行った。罹病木を13部位に分割し、それぞれ5mm角にした1604サンプルから1042菌株を確立した。しかしながら、P.minimaは検出されなかった。今後、病原菌P. minimaの感染部位を特定するために、培養方法の検討が必要であるとともに、高感度で検出可能な種特異的プライマーを用いた罹病組織からの病原菌検出技術の確立が必要不可欠であると考えられた。
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