2011 Fiscal Year Research-status Report
プロテオミクスを用いたシャトネラ赤潮消長関連タンパク質の探索
Project/Area Number |
23780197
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
島崎 洋平 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40363329)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | シャトネラ / プロテオミクス |
Research Abstract |
本課題では有害藻類シャトネラの赤潮消長予測を目的として、光合成に関連したタンパク質の発現変動を指標とした細胞活力評価法の開発を目指している。本年度度は実験計画のうち、<実験1>タンパク質群の同定解析(プロテオームマップの作製)、<実験2>増殖段階で変動したタンパク質の短期・長期的環境変化に対する発現量挙動解析、<実験4>実環境(有明海)におけるシャトネラ調査と細胞のサンプリングを計画していた。本年度の成果として、(1)増殖期、定常期、死滅期の各増殖段階における光合成活性(光化学系II)および光合成関連のタンパク質変動を解析し、さらにそれらに及ぼす栄養塩、光強度の影響に関する基礎的知見を集積した。また、(2)細胞寿命に影響を及ぼすと考えられ、光合成反応の副産物である活性酸素量とその酵素的消去活性についての株間比較を行い、活性酸素消去能力がシャトネラ細胞の寿命に影響を及ぼすことが示唆された。さらに(3)現場海域で観察される強い光により光化学系II活性が著しく低下し、細胞の培養期間が通常光に比べて約半分程度短くなることが分かった。しかし、強光に対する影響は不可逆的であり、通常光に戻すと光合成活性が回復した。以上の成果は、本年度計画のうち主に<実験2>に関する成果である。<実験1>については同定タンパク質数の向上を目指して、本種遺伝子データの充実を計画している。また<実験4>については、定期的現場観測を行ったが、H23はシャトネラの赤潮が発生しなかったため現場赤潮細胞を入手できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題は5つのサブプロジェクト(実験1. タンパク質群の同定解析、実験2. 増殖段階で変動したタンパク質の短期・長期的環境変化に対する発現量挙動解析、実験3. 増殖段階で変動したタンパク質の遺伝子配列解析、実験4. 実環境におけるシャトネラ調査と細胞のサンプリング、実験5. 実環境サンプルのタンパク質・遺伝子発現解析とデータ整理・解釈)により構成されている。H23年度は実験1、2、4について実施し、1、2については今年度で終了する予定であったが、いずれも次年度も継続する。実験1については、計画上十分なタンパク質種の同定はできていると考えられるが、さらに活力評価の精度を向上させるため、遺伝子データの構築などを通してタンパク質種の同定数を増やす予定である。また実験2について、強光および活性酸素種等に対するシャトネラの光合成活性やタンパク質変動に関して、細胞の活力を評価する上で興味深い結果が得られたため、さらに継続して実験を行う。実験4については現場での赤潮の有無は自然環境に左右される部分もあり、継続して次年度以降も行う予定である。以上、H23年度終了予定であった実験1、2について、ある程度十分な成果が得られているが、成果の質の向上が期待されるため引き続き実験を継続する。以上の理由よりおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の進捗はおおむね順調であると判断しており、計画の大きな変更は予定しておらず、申請時の研究計画に沿ってH24度以降研究を実施する。一部追加実験として、次世代シーケンサを用いたシャトネラの遺伝子データの集積を行い、タンパク質種同定の向上を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は赤潮藻類に関連した国際学会への参加(韓国)を予定している。また50万を超える備品の購入は予定はなく、汎用消耗品、および試薬類、および院生のアルバイトによる補助を予定している。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Allelopathy of the raphidophyte Heterosigma akashiwo against the dinoflagellate Akashiwo sanguinea is mediated via allelochemicals and cell contact.2012
Author(s)
Qiu X, Yamasaki Y, Shimasaki Y, Gunjikake H, Honda H, Kawaguchi M, Matsubara T, Nagasoe S, Etoh T, Matsui S, Honjo T, Oshima Y.
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Journal Title
Marine Ecology-Progress Series
Volume: 446
Pages: 107-118
DOI
Peer Reviewed
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