2012 Fiscal Year Annual Research Report
犬の血栓症におけるADAMTS13を用いた新規診断・治療法の確立に向けた基盤研究
Project/Area Number |
23780327
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
丸山 治彦 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (60434106)
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Keywords | 犬 / ADAMTS13 / 血栓症 |
Research Abstract |
研究最終年度である平成24年度は、前年度において人用に市販されているADAMTS13活性測定ELISAキットが犬の血漿中ADAMTS13活性測定に応用可能であることを示唆する成果が得られたため、それをさらに発展させた。具体的研究実績は以下の通りである。まず、犬血漿ADAMTS13測定における本測定キットの精度ならびに再現性を検討した。血漿ADAMTS13活性値が97.2%, 51.3%そして26.2%である犬3症例の血漿を、健常犬から得た標準血漿を加温処理した非働化血漿を用いて段階希釈し、それらを検体としてADAMTS13活性を測定することで希釈直線性を評価した。その結果、全ての検体で良好な直線性を認めた。血漿ADAMTS13活性値が81.4% 41.5% 9.9%の3種の血漿を用いて同時再現性および日差再現性について検討した。その結果、同時再現性の変動係数(CV)は3.0%から12.4%であり、日差再現性のCVは11.5%から12.5%であった。さらに本測定キットの臨床的有用性を明らかにするために、血栓好発疾患である細菌感染犬における血漿ADAMTS13値の評価を行った。症例として血液培養により菌血症であることが確認された犬6例(菌血症群)、対照群として臨床上健康な犬7例を用い、これら症例から得たクエン酸血漿を本キットによるADAMTS13活性測定に供した。その結果、菌血症群の血漿ADAMTS13活性は、健常群と比較して有意に低かった(p <0.05)。以上のことから、人用に市販されているADAMTS13活性測定ELISAキットが犬の血漿中ADAMTS13活性測定に応用可能であることが明確となった。 研究期間全体を通して得られた成果は、犬における血栓症の病態解明に寄与するものであり、病態に立脚した新規診断法・治療法の確立に大きく貢献するものである。
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