2013 Fiscal Year Annual Research Report
静的および動的アプローチによる薬物代謝酵素の代謝活性メカニズム
Project/Area Number |
23790045
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 沢 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 招聘准教授 (70398246)
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Keywords | 薬物代謝酵素 / CYP / 2C19 / 2C9 |
Research Abstract |
前年度の研究から、三環系抗うつ薬のアミトリプチリンなどの代謝に貢献する数種のCYP分子種について興味深い結果を得ることに成功した(T. Z. Attia, T. Yamashita, et al. 2012)。その中で、動的なアプローチの結果から、CYP2C9 と2C19との間で薬物の結合に伴う影響が相反するものであったことから、本影響を精査するため、今年度は2C9と2C19の二つの分子種に着目して研究を行った。同分子種の総アミノ酸490個の中で、43個だけ異なるアミノ酸が存在するが、さらに、その中でも両分子種間で相反する性質を持つ薬物を認識することに着目し、電荷が異なるアミノ酸に着目した。その結果、72位と241位のアミノ酸が、2C9では塩基性のリジン、2C19ではグルタミン酸であったことから、それぞれにアミノ酸を入れ替えるような変異(2C9 K72EおよびK241E、2C19 E72KおよびE241K)を導入して、既報の各分子種の基質に対する結合性および代謝活性への影響を検討した。 本検討においては、酸性薬物としてジクロフェナク、イブプロフェン、フルルビプロフェンを、塩基性のものとしては、アミトリプチリン、イミプラミン、ドチエピンを用いた。酸性薬物においては2C19で薬物の結合および代謝が見られなかったため、2C9において241位のアミノ酸の重要性が示唆されたのみであった。一方、塩基性の薬物の結合性は、2C9様に変位させた2C19E72Kで有意に低下し、2C19様に変位させた2C9K72Eでは上昇が見られた。また代謝活性においても同様の傾向が見られた。一方、241位の変異においては72位の変異体で見られたほどの有意な影響が見られなかったことから、72位のアミノ酸であるグルタミン酸が、塩基性の薬物の結合および代謝には重要であることを見出した(T. Z. Attia, T. Yamashita, et al. 2014)。
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[Journal Article] Effect of Cytochrome P450 2C19 and 2C9 Amino Acid Residues 72 and 241 on Metabolism of Tricyclic Antidepressant Drugs2014
Author(s)
Tamer Zekry Attia, Taku Yamashita, Mohamed Abdelkhalek Hammad, Akinori Hayasaki, Takumi Sato, Masayoshi Miyamoto, Yuki Yasuhara, Takashi Nakamura, Yusuke Kagawa, Hirofumi Tsujino, Mahmoud Ahmed Omar, Osama Hassan Abdelmageed, Sayed Mohamed Derayea, Tadayuki Uno
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Journal Title
Chemical and Pharmaceutical Bulletin
Volume: 62
Pages: 176-181
DOI
Peer Reviewed
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