2012 Fiscal Year Annual Research Report
生体内レドックス・酸素濃度の高解像度3Dマッピング法の開発
Project/Area Number |
23790049
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安川 圭司 九州大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80372738)
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Keywords | 生体イメージング / 酸化還元 / 炎症 |
Research Abstract |
レドックスバランス異常の捕捉は疾患の予防や早期診断に繋がり、低酸素領域の検出は腫瘍進展を推測可能であることから、その生体イメージング技術の開発は非常に重要かつ急務である。昨年度は2次元の酸素濃度画像作成ソフトを作成し、本オーバーハウザーMRI(OMRI)システムでの酸素濃度計測手法の検討を擬似試料で行った。 本年度は、まず、酸素濃度計測アルゴリズムについて、擬似試料および動物個体で検証した。次に、重畳ソフトを3次元に拡張し、数値シミュレーションにて検証を行った。 一方、レドックスと酸素濃度の3次元情報を、十分な精度で取得するには、OMRIの時間分解能の向上が望まれた。そこで、炎症モデルでの3次元画像解析を円滑に進め、炎症の発症・進展過程でのレドックス変動領域を同定し病態機序の解明に繋げる目的で、潰瘍性大腸炎の動物モデルとして汎用されているデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)モデルを用い、大腸の部位とレドックス変動およびその上流の炎症イベントとの関連を検討した。2次元OMRI撮像により、DSS5日目では直腸の細胞内で活性酸素種(ROS)が産生し7日目では大腸全体で細胞内外ROSが産生すること、それらのROS産生はiNOS阻害により抑制されるのに対し、非特異NOS阻害では逆に増加させることを明らかにした。また、DSSにより結腸下部と直腸で発現増強したiNOS由来のNOは、炎症性サイトカインTNF-alpha産生を誘導し、大腸全体における内皮接着分子ICAM-1やP-selectinの発現を増強させ、好中球浸潤を引き起こすことで活性酸素産生を増大し、病態形成に関与することを明らかにした。 今後、OMRIの性能向上により詳細な部位解析ができれば、レドックス変動解析や酸素濃度解析の精度が向上し、病態機序解明や創薬シーズ開発に繋がるものと期待される。
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Research Products
(6 results)