2012 Fiscal Year Annual Research Report
プレシナプス形成におけるSYD‐1・SYD‐2の機能と神経細胞内輸送制御
Project/Area Number |
23790070
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
多留 偉功 北海道大学, 創成研究機構, 特任助教 (30533731)
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 薬学 / 遺伝学 / シナプス |
Research Abstract |
脳が機能する上での基本素子となるのが、シナプスと呼ばれる神経細胞間接着構造であり、その形成分子機構の解明は大きな課題である。線虫C.elegansのプレシナプス構造形成プロセスの中心制御因子として、SYD (SYnapse Defective) -1とSYD-2が知られている。本研究課題は、SYD-1・SYD-2によるプレシナプス機能分子群の集積制御に関わる因子の同定と、作用機序の解明を目指したものである。代表者らは、大規模スクリーニングによってsyd-1の抑制変異体を探索した。その結果、syd-1変異体が呈する、セロトニン作動性神経細胞HSNのプレシナプス形成不全とそれに伴う産卵行動異常の表現型が、カドヘリン様細胞接着ドメインを持つ膜タンパク質の機能欠損によって抑制されることが明らかとなった。遺伝学的相互作用解析によって、syd-2の機能欠損変異体の表現型、さらにはsyd-1・syd-2の協調因子elks-1の機能欠損変異体の表現型に対しても、同様の抑制作用が見出された。これらの解析から、自発的なプレシナプス構成分子の集積を抑制するような細胞接着タンパク質依存的な機構の存在が、通常のプレシナプス形成がSYD-1・SYD-2の制御下で遂行される上で重要である可能性が示唆された。さらにプレシナプス形成におけるSYD-1・SYD-2自身の作用機序に関して、機能ドメインの新規欠損変異体を用いた解析を進め、SYD-1のRhoGAPドメインおよびSYD-2のSAMドメインの重要性を明らかにした。以上の本研究課題の成果の一部は国際学会等において発表した。
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Research Products
(4 results)