2011 Fiscal Year Research-status Report
生理活性脂質リゾホスファチジン酸の様々な線維症における機能解析
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23790071
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
奥平 真一 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (90570060)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | リゾホスファチジン酸 / 線維症 / オートタキシン |
Research Abstract |
線維化は肺、腎臓、肝臓、心臓、腹膜など全身のいたるところで起こりうるが、その発症機構については不明な点がまだ多く残されている。オートタキシン (ATX) は生理活性脂質リゾホスファチジン酸(LPA)の産生酵素である。LPAの作用はLPAに特異的なGタンパク質共役型受容体を介するが、LPA受容体のうちLPA1が肺、腎、腹膜の線維化に促進的に機能していることがノックアウトマウスを用いた研究より明らかにされている。これまでに我々はATXが肺の線維症に機能していることを明らかにしてきたがATXがどのような細胞に発現しているかについては明らかになっていなかった。そこで我々は最近新たに確立した抗体を用いてATXの肺線維症における発現解析を行うと同時に、さらに新たに腹膜線維症マウスモデルを作製し、同様の発現解析を行った。1 肺線維症モデルにおけるATXの発現 ブレオマシン誘導型マウス肺線維症モデルにおいてATXの発現を調べたところ、mRNAレベルではATXの発現は低下していた。しかし、抗ATX抗体を用いたウエスタンブロッティングを行ったところ、ATXの発現は増加傾向にあった。そこでさらに、免疫組織染色を行ったところ、ブレオマイシン投与後1週間の炎症期において、マクロファージ様細胞にATXの陽性シグナルが認められることがわかった。2 腹膜線維症モデルにおけるATXの発現 腹膜線維症モデルとして、グルコン酸クロルヘキシジンを2日おきに3週間、マウスに腹腔内投与した。このとき腹膜においてATXのmRNAレベルの有意な上昇は認められなかった。しかし、免疫組織染色を行ったところ、通常の腹膜には全く陽性シグナルが認められなかったが、線維化した腹膜において線維芽細胞に強いシグナルが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで明らかになっていなかった線維症におけるATXの発現部位の同定を行い、さらに新たに腹膜線維症への寄与の可能性を見出している。一方で、個体レベルでのATXの寄与の評価が不十分である。これについては震災によるマウス飼育施設に対する影響があり、当初個体数確保が困難であったことがあげれらる。
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Strategy for Future Research Activity |
肺線維症、腹膜線維症について、最近、確立したATX阻害剤を用いて、個体レベルでの寄与を明らかにしていく。また現在未着手である肝硬変モデルについても同様の発現解析、および阻害剤、阻害抗体、過剰発現マウスを用いた解析を行っていく。進捗に影響を与えていたマウス飼育施設の復旧状況については、現在は順調に稼働しており、今後の研究に必要なマウス個体の確保はおおむねできている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
個体レベルでの解析が主となるゆえに、実験動物(マウス)の購入、遺伝子発現解析用の試薬、組織染色用の試薬、脂質解析用の試薬の購入に使用していく予定である。
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Research Products
(6 results)