2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規な細胞運動促進因子ZF21を標的とした実験的癌浸潤抑制方法の確立
Project/Area Number |
23790109
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
長野 真 摂南大学, 薬学部, 助教 (50572715)
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Keywords | 細胞生物学 / 癌細胞の浸潤抑制 |
Research Abstract |
今年度は、(1) ZF21とその結合タンパク質の結合阻害法の確立、(2)ZF21の機能抑制によるがん細胞の運動・浸潤抑制手法の確立に取り組んだ。これらに加えて、(3)ZF21によるがん浸潤促進におけるリン酸化の影響を解析した。 (1)では、特にZF21との結合領域の絞り込みが進んでいたFAKとの結合阻害方法の検討を先行して行った。その結果、ZF21の1-105アミノ酸部分(ZF21/1-105aa)の精製リコンビナントタンパク質を用いることで、ZF21とFAKの結合が抑制できることを見出した。さらに、ZF21とFAKの結合領域の絞り込みを進め、FAKとの結合には、ZF21の41-75アミノ酸部分で十分であることを明らかとした。 (2)では、ZF21/1-105aaを安定的に過剰発現させたHT1080細胞を用いて、ZF21の機能および細胞運動への影響を解析した。その結果、同細胞株では、ZF21によるFAKの微小管制御下の脱リン酸化が抑制されていた。従って、ZF21/1-105aaの過剰発現下では、ZF21によるFAK制御が阻害されていることが明らかとなった。実際に同細胞株では、FAK依存的な細胞運動が抑制されていることを見出しており、ZF21/1-105aa過剰発現によって、ZF21によるFAKのリン酸化制御を介した細胞運動の促進作用が阻害可能であることが明らかとなった。 (3)では、ZF21の229番目チロシンがリン酸化されることから、その細胞運動への影響を解析した。具体的には、ZF21の発現を抑制した癌細胞に、野生型ZF21または、リン酸化されない変異型ZF21(ZF21/Y229F)を発現させ、細胞運動性を比較した。その結果、両細胞株では運動性の顕著な違いは認められず、229番目チロシンのリン酸化は細胞運動促進作用には関係しないと考えられた。
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