2012 Fiscal Year Annual Research Report
難治性肝疾患の治療を指向した肝毛細胆管側輸送担体群の細胞膜発現量制御機構の解析
Project/Area Number |
23790175
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 久允 東京大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (10451858)
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Keywords | ABCトランスポーター / 肝細胞 / 胆汁酸 / ユビキチン / 細胞内ソーティング |
Research Abstract |
肝毛細胆管側膜(CM; canalicular membrane)に発現するトランスポーターであるBile salt export pump(BSEP)のCMからの内在化促進は、胆汁酸の胆汁排泄の低下によって惹起される肝内胆汁うっ滞の主要因の一つである。BSEPのCMからの内在化に関わる分子機構は未解明であるため、肝内胆汁うっ滞に対するmechanism-basedな薬剤は未だ開発に至っていない。当該年度は、肝内胆汁うっ滞に対する新規薬効標的の提唱を目的とし、BSEPの細胞膜からの内在化に関わる分子機構の解析に着手した。 培養細胞を用いた生化学実験、イメージング解析から、BSEPがAP2を介したクラスリン依存的な内在化を受けること(Hayashi H et al, Hepatology 2012 55(6):1889-900)、細胞膜上におけるBSEPのユビキチン(Ub)化は内在化シグナルとして働くことを見出した。さらに、これら2つのメカニズムが独立してBSEPの内在化に関わるのではなく、細胞膜上でUb化を受けたBSEPが最終的にAP2に引き渡され、クラスリン依存的な内在化を受けている可能性が明らかとなった(unpublished data)。他のグループの研究から、Ubとの相互作用ドメイン、AP2との相互作用ドメインを有するEps15により、BSEPの細胞膜発現量が負に制御されていることが報告されている(Ortiz DF et al, J Biol Chem. 2004 279(31):32761-70)。この点を鑑みると、細胞膜上でUb化されたBSEPはEps15に認識され、AP2へと引き渡された後、最終的に細胞膜からクラスリン依存的に内在化しているものと想定される。現在、本モデルの検証のため、更なる実験を進めている。
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