2013 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍関連マクロファージ標的リポソーム製剤のがんに対する有効性の評価
Project/Area Number |
23790203
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
服部 喜之 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (90350222)
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Keywords | 葉酸受容体 / リポソーム / マクロファージ / 抗がん剤 / がん治療 / ゾレドロン酸 |
Research Abstract |
腫瘍の増殖を促進する腫瘍関連マクロファージ(tumor-associated macrophage, TAM)は葉酸受容体βを発現していることから、葉酸修飾したリポソーム製剤により効率よくTAMにマクロファージ阻害薬を送達できれば、高い抗腫瘍効果を誘導できると考えられる。昨年度、マクロファージ阻害薬であるゾレドロン酸を封入した葉酸修飾リポソーム製剤の調製に成功し、in vitroにおいて葉酸受容体を発現しているがん細胞やマクロファージ細胞に対して選択的に細胞毒性を示すことを明らかにした。今年度は、担がんマウスに対するゾレドロン酸封入葉酸修飾リポソーム製剤の腫瘍集積性と抗腫瘍効果について検討した。葉酸受容体を発現している扁平上皮がんKB細胞、葉酸受容体を発現していない大腸がんColon 26細胞をそれぞれマウス皮下に移植した担がんマウスに、蛍光標識した葉酸修飾リポソーム製剤を投与し、固形がんにおけるリポソームの集積性を調べた。蛍光顕微鏡による凍結切片の観察では、葉酸修飾リポソーム製剤の腫瘍集積性はColon26腫瘍よりもKB腫瘍で高く認められた。また、KB腫瘍において葉酸修飾リポソーム製剤は、葉酸未修飾リポソーム製剤と比較し高い腫瘍集積性を示したが、Colon 26腫瘍においては葉酸修飾の有無に関わらず同程度の集積性であった。抗腫瘍効果においては、Colon 26およびKB担がんマウスどちらにおいても、葉酸修飾に関わらず、ゾレドロン酸封入リポソーム製剤は有意な抗腫瘍効果を示さず、副作用と考えられる死亡例が多く観察された。一方、ゾレドロン酸溶液投与において、副作用は観察されなかった。以上のことから、ゾレドロン酸封入葉酸修飾リポソーム製剤は、in vitroにおいては葉酸受容体を介して取り込まれ、高い抗腫瘍効果を示したものの、in vivoにおいてはリポソーム化によるゾレドロン酸の高い副作用によりTAMを介した抗腫瘍効果を観察することが出来なかった。
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Research Products
(10 results)