2012 Fiscal Year Research-status Report
アストロサイト特異的に発現する分化関連因子Ndrg2の機能解析
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23790219
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宝田 美佳 金沢大学, 医学系, 助教 (40565412)
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Keywords | アストロサイト / 脳損傷 / Ndrg2 |
Research Abstract |
本研究課題では、アストロサイトに発現するNdrg2に注目し、病態時でのアストロサイト活性化と神経におよぼす影響、およびそのメカニズムの解明を目的としている。当該年度は、アストロサイトの活性化に重点をおき、Ndrg2欠損マウスの病態モデルでの解析、およびマウス由来アストロサイトを用いた解析を行った。モデルとしてStab wound 脳損傷モデルを用い、アストロサイトの活性化を分子生物学的、組織化学的に解析した。その結果、野生型マウスにおいて、Ndrg2の免疫染色性は障害部位において増強し、GFAP陽性活性化アストロサイトに認められることが明らかとなった。また、障害後4日目において、野生型マウスで認められた障害部位でのGFAP染色性の増加は、Ndrg2欠損マウスにおいて有意に減少していた。同様に、ウエスタンブロット、qPCR法においてもGFAPの発現および各種活性化マーカー遺伝子の発現はNdrg2欠損マウスで有意に減少していた。アストロサイト活性化が減弱した原因を解析するために、損傷早期の後24時間のサンプルを用いて解析したところ、アストロサイト活性化の重要なメディエーターであるSTAT3シグナルの活性化が減少していた。Ndrg2欠損マウス由来アストロサイトでも同様の結果が得られ、アデノウイルスによる過剰発現系でこの効果は回復した。以上の結果より、アストロサイトに発現するNdrg2は、脳損傷の病態時におけるアストロサイトの活性化に対し促進的に働くことが明らかとなった。また本解析は、Ndrg2欠損マウスを用いて病態時におけるNdrg2の役割を明らかにした初めての報告である。今後は、Ndrg2の標的因子の同定に取り組むとともに、病態形成への関与をさらに詳細に解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題ではアストロサイトに発現するNdrg2に注目し、病態時でのアストロサイト活性化と神経におよぼす影響、およびそのメカニズムの解明を目的としている。現時点においては、脳損傷モデルにおけるNdrg2の役割の解明が進んでおり、標的候補となるシグナル系の変化もとらえているため、研究課題は順調に進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、マウスでの脳損傷モデルの解析がより進行しているため、今後は、Ndrg2の標的因子の同定に重点をおいて解析を執り行う。あわせて、病態形成への関与をさらに詳細に解析し、他の病態モデルも用いて総合的なNdrg2の役割を明らかにしていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の大部分は、消耗品費にあてる予定である。これは分子生物学的な研究計画の性質上、数多くの抗体、遺伝子導入試薬、ウシ胎児血清、各種測定キット等の購入費用に、相当額を充当する必要性があるからである。その他に遺伝子改変マウスの繁殖・維持費用での出費が必要となる。また、得られた結果の迅速な公表を目的に、3回程度の国内学会への出席を予定している。
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Research Products
(4 results)