2013 Fiscal Year Annual Research Report
アストロサイト特異的に発現する分化関連因子Ndrg2の機能解析
Project/Area Number |
23790219
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宝田 美佳 金沢大学, 医学系, 助教 (40565412)
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Keywords | アストロサイト / 脳損傷 / Ndrg2 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
これまでに、Ndrg2がstab wound脳損傷モデルマウスにおいて、アストロサイトの活性化に促進的に働く可能性を明らかにした。本年度は、病態を形成する他の細胞の挙動へのアストロサイト活性化の影響、およびNdrg2によるアストロサイトの活性化調節メカニズムについて解析した。 その結果、損傷後4日目において、Ndrg2欠損マウスではIba1陽性炎症性細胞の集積が減少し、炎症性サイトカインおよびケモカインのmRNA発現が減弱していることが明らかとなった。損傷後4日目においてはssDNAおよびFluoro-JadeC共陽性な変性神経細胞数がNdrg2欠損マウスでは減少していた。また、損傷後1-7日目のmRNA発現変化の解析結果から、既知のアストロサイト活性化に関与するサイトカインの中では、IL-6の誘導が最も早くNdrg2による活性化調節に関与することが示唆された。そこで、Ndrg2欠損マウスからアストロサイトを単離し単培養の系でIL-6シグナルの変化を解析した。Ndrg2欠損アストロサイトでは野生型マウス由来アストロサイトと比較し、Forskolin誘導性のIL-6の発現上昇およびGFAPの発現上昇が減弱していることが明らかとなった。また、Ndrg2欠損アストロサイトでみられたIL-6の発現減少は、mRNAおよび分泌蛋白レベルで共に、アデノウイルスによるNdrg2の過剰発現によって回復した。 本研究の結果より、Ndrg2がIL6-STAT3経路を介してアストロサイト活性化を調節し、脳内の炎症細胞の集積や神経細胞死の調節に関与することを明らかにした。以上の結果より、Ndrg2の機能解析が脳内炎症を伴う中枢神経疾患の分子メカニズム解明につながると考えられる。
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Research Products
(5 results)