2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23790256
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
中台 枝里子 (鹿毛 枝里子) 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40453790)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 生理学 / グリア細胞 / 浸透圧 / 線虫 |
Research Abstract |
近年、体液浸透圧制御におけるグリア細胞の働きが注目されている。浸透圧受容器ではグリア細胞がニューロンの活動を制御することがわかってきた。またグリア細胞それ自身においても、脳内の浸透圧変化により、様々なオスモライト輸送担体の発現が制御されている。本研究では、浸透圧調節におけるグリア細胞の役割と、それを担う分子メカニズムを明らかにするべく、線虫C. elegansのイノシトール輸送担体(HMIT)に着目して解析を行った。 線虫においてHMITをコードする3つの遺伝子(hmit-1.1, hmit-1.2, hmit-1.3)について発現解析および欠損変異体作製を行った。その結果、hmit-1.2およびhmit-1.3が線虫のグリア細胞に発現すること、hmit-1.2のみが高浸透圧条件下において著明な発現誘導を示すことを明らかにした。このグリア細胞は、まさに線虫の浸透圧受容ニューロン(ASHニューロン)を覆うグリア(amphid sheath glia)であった。また、各欠損変異体の表現型解析から、hmit-1.2ノックアウト線虫が体液の高浸透圧負荷に脆弱であることを見出した。ヒトのグリア由来培養細胞においてもHMITが高浸透圧ストレスにより誘導された。以上の結果から、線虫において、グリア細胞のイノシトール輸送担体(hmit-1.2)が浸透圧に応答して発現誘導されること、個体としての浸透圧制御に重要な役割を果たすことが明らかとなった。また、高浸透圧ストレスによるグリア細胞でのイノシトール輸送担体の発現誘導は種間で普遍的なメカニズムであると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、線虫グリア細胞の浸透圧応答性レポーターを用い、細胞内シグナル分子群の同定を目的として研究を行った。研究計画に沿って、ノックアウト線虫やRNAi によるスクリーニングを行い、いくつかの候補分子を同定している。従って、研究は概ね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
グリア細胞における浸透圧応答の分子メカニズムに加え、グリア細胞/ニューロン間のシグナル分子の探索を行う。ニューロンでのRNAi 効果は弱いことが知られるため、遺伝子破壊的手法を第一選択とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
線虫の培養に必要なプラスチック器具、変異体解析などに用いる薬剤やシーケンス試薬などの消耗品費が主に必要な経費である。また学会における成果発表のため、旅費等を申請している。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] GPI-anchor synthesis is indispensable for the germline development of the nematode Caenorhabditis elegans.2012
Author(s)
Murata D, Nomura KH, Dejima K, Mizuguchi S, Kawasaki N, Matsuishi-Nakajima Y, Ito S, Gengyo-Ando K, Kage-Nakadai E, Mitani S, Nomura K
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Journal Title
Mol Biol Cell
Volume: 23
Pages: 982-995
Peer Reviewed
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[Journal Article] Ceramide glucosyltransferase of the nematode Caenorhabditis elegans is involved in oocyte formation and in early embryonic cell division.2011
Author(s)
Nomura KH, Murata D, Hayashi Y, Dejima K, Mizuguchi S, Kage-Nakadai E, Gengyo-Ando K, Mitani S, Hirabayashi Y, Ito M, Nomura K
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Journal Title
Glycobiology
Volume: 21
Pages: 834-848
Peer Reviewed
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