2014 Fiscal Year Annual Research Report
組織型プラスミノゲン活性化因子とマトリックスメタロプロテアーゼの認知症での役割
Project/Area Number |
23790289
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 康裕 浜松医科大学, 医学部, 助教 (00324343)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 組織型プラスミノゲン活性化因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
血管性認知症の病態解明のために組織型プラスミノゲン活性化因子(t-PA)遺伝子欠損マウスを用いて血栓性閉塞モデルを作製した。行動薬理学的観察により選択的ノルアドレナリン再取り込み薬を投与により、シナプス間隙のノルアドレナリン濃度を上昇させることで欠損型の多動性障害を抑制すること見出した。さらに肝臓障害修復時に貪食細胞の集積にウロキナーゼ型PAが障害周囲で重要である点を示し、脳虚血において虚血境界領域にておいても貪食細胞でのt-PAの産生が上昇する点と似ていることを示した。電子顕微鏡観察により、t-PAに投与すると一過性のBBBの透過性の増大を認め、虚血開始24時間後までにアルブミンの内皮細胞への取り込みは観察されたが、貪食細胞の集積は認めなかった。そこで脳血管内皮培養細胞系にて、血管内皮増殖因子(VEGF)の産生がt-PAの酵素活性によって促進されることを見出した。このVEGFの上昇は、低密度リポタンパク質受容体ファミリー(LDLRs)阻害薬で抑制され、脳動物モデルにおいてもVEGF阻害によりBBBの透過性を抑制した。また、活性酸素の相乗効果によりI-kBが分解されており、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-9の産生が増加することを見出した。これらのことから、虚血4時間以上のt-PA投与によって、LDL受容体に結合し内皮の活性化、VEGFの産生誘導し、その産生されたVEGFがVEGFR-2を介してBBBの透過性を上昇させ、細胞死によって曝露される活性酸素によってMMP-9産生が増加し活性化されることが、脳障害後のマウスの潜在的な逃避行動すなわち歩行へのモチベーションに対して関わっており、脱抑制あるいは衝動性に内因性t-PAが関与している可能性が示唆された。
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