2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23790299
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
中野 大介 香川大学, 医学部, 助教 (30524178)
|
Keywords | 糖尿病性腎症 / 細胞老化 / レニン・アンジオテンシン系 / p21 |
Research Abstract |
糖尿病性腎症の発症機序解明、治療法開発は国際的課題である。申請者は、細胞周期調節因子p21を介した腎細胞老化(生存しているが、有糸分裂を停止した状態)を惹起し、腎における炎症・障害の進展に関与している可能性を見出している。そこで本研究課題では、糖尿病性腎症進展過程における腎細胞老化の進行と病態進展への寄与を検討した。糖尿病を発症したマウスおよびラットでは非糖尿病動物と比べて、腎臓の尿細管において細胞周期調節分子p21が活性化することにより老化が進んでおり、これが更に腎臓において炎症惹起因子TNF-αを誘導することにより病態を増悪させていることがわかった。活性酸素はよく知られた細胞老化誘導因子であり、糖尿病腎において、その産生が亢進していることが知られている。しかしながら、細胞老化発症後の糖尿病動物に抗酸化薬治療を施しても、細胞老化の改善はみられず、糖尿病腎における活性酸素の細胞老化への関与は明らかにされなかった。一方で、既に確立されている腎保護戦略として、レニン・アンジオテンシン系の阻害を行ったところ、糖尿病腎における細胞老化は消失したことから、糖尿病における腎細胞老化にはレニン・アンジオテンシン系の関与が示され、細胞老化現象は可逆的で治療可能なものであることも証明された。またマウスを用いた実験では、糖尿病初期における細胞老化はp21により誘導されており、p21を欠失したマウスでは、糖尿病性腎障害の進行が緩解されることがわかった。本研究はp21および腎臓老化が糖尿病性腎症治療のターゲットになる可能性を示したものである。
|
Research Products
(3 results)