2011 Fiscal Year Research-status Report
Nrf2依存的遺伝子発現活性化におけるZ-DNA構造の機能解明
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23790319
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
丸山 敦史 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10431438)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 転写調節 / Z-DNA / ヘムオキシゲナーゼ‐1 |
Research Abstract |
本研究の目的は、Nrf2依存的遺伝子発現調節における左巻きZ-DNA構造が果たす役割の解明である。この目的を達成するために以下の実験を実施した。1.Z-DNA形成挙動の解析:ヘムオキシゲナーゼ‐1(HO-1)遺伝子は、酸化ストレスをはじめとする環境ストレスに応答して発現が活性化する。ヒトHO-1遺伝子プロモーター領域には、左巻きZ-DNA構造を取りうるチミンーグアニン反復配列がある。しかし、この反復配列が実際Z-DNAを形成するか、また遺伝子発現に関与するかは明らかでない。遺伝子発現におけるZ-DNA形成の関与を検討するために、HeLa細胞にZ-DNA構造に結合する分子プローブを一過性に形質導入し、酸化ストレスとしてジエチルマレイン酸(DEM)を添加した後の経時的なヒトHO-1遺伝子プロモーター領域のZ-DNA形成を検討した。HO-1遺伝子発現は、DEM添加1時間後から増強し、6時間後に最大となった。一方、Z-DNA形成はDEM添加1時間後から増強し、3時間後に最大となり、6時間後では刺激前と同レベルであった。以上から、遺伝子発現のピークに先んじて、HO-1遺伝子プロモーターのZ-DNA形成が最大になることが明らかとなった。2.Z-DNA形成におけるNrf2の役割の解析:Z-DNA形成におけるNrf2の役割を解明するために、HeLa細胞にNrf2に特異的なsiRNAを形質導入し、Nrf2を発現抑制した際のZ-DNA形成について検討した。その結果、Nrf2を発現抑制すると、HO-1遺伝子プロモーターのZ-DNA形成が低下した。またNrf2 siRNAの導入によりHO-1遺伝子発現も低下していた。以上から、HO-1遺伝子プロモーターのZ-DNA形成には、Nrf2が必要なことがわかった。現在、Z-DNA形成におけるBRG1の必要性について検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・酸化ストレス依存的なZ-DNA形成とHO-1遺伝子発現の関係を、時間経過を追って明らかにすることができた。・酸化ストレスによるZ-DNA形成がNrf2依存的か否かを調べるために、Nrf2特異的なsiRNAを形質導入し、HO-1遺伝子発現とZ-DNA形成を検討した。その結果、Nrf2を発現抑制すると、HO-1遺伝子プロモーターのZ-DNA形成が低下した。またsiRNAの導入によりHO-1遺伝子発現も低下していた。以上から、HO-1遺伝子プロモーターのZ-DNA形成には、Nrf2が必要なことがわかった。・KAP1をNrf2結合タンパク質として同定し、Nrf2依存的転写活性化に関わることを報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、Nrf2依存的遺伝子発現調節における左巻きZ-DNA構造が果たす役割の解明を目指す。本目的を達成するために以下の研究を実施する予定である。1) Nrf2依存的な遺伝子発現活性化におけるZ-DNAの機能解析:Z-DNAの遺伝子発現活性化における作用点を調べるため、次の実験を行う。1. Z-DNAが形成した時のヒストン翻訳後修飾の変化を調べるために、各種抗ヒストンH3およびH4のメチル化やアセチル化抗体を用いたChIP解析を行う。 2. Z-DNAが形成した時のHO-1遺伝子プロモーター部位におけるヌクレオソーム位置の移動と崩壊を調べるために、抗ヒストンH3抗体および抗ヒストンH1抗体を用いたChIP解析によりヌクレオソームマッピングを行う。3.Z-DNAが形成した時のレポーター挿入部位におけるRNA ポリメラーゼIIのリクルートの変化を調べるために、抗PolII抗体を用いたChIP解析を行う。2) Z-DNA構造形成を担うNrf2複合体の解析:Nrf2結合タンパク質として同定した分子KAP1に対する特異的siRNAを形質導入し、Z-DNA形成への影響を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用計画は、研究計画書から変更はない。消耗品は本研究において日常的に使用するものであり、使用量はこれまでの実績をもとに算出している。そのため、次年度に計上した経費は妥当であると考えている。また、旅費は研究成果を発表し、情報交換や資料を収集するために必要である。学術誌投稿費は、研究成果を学術誌にて発表する際に必要である。なお、本計画研究以外で、次年度に使用する予定の研究費はない。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Nrf2 regulates ferroportin 1-mediated iron efflux and counteracts lipopolysaccharide-induced ferroportin 1 mRNA suppression in macrophages.2011
Author(s)
Harada N*, Kanayama M*, Maruyama A*, Yoshida A, Tazumi K, Hosoya T, Mimura J, Toki T, Maher JM, Yamamoto M, Itoh K.*: equal contribution.
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Journal Title
Arch. Biochem. Biophys.
Volume: 508
Pages: 101-109
Peer Reviewed
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