2011 Fiscal Year Research-status Report
膵島細胞間のVEGFシグナル破綻による糖尿病発症機構
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23790431
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
河村 治清 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (70527902)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 糖尿病 / モデル動物 / VEGF / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
膵β細胞から産生されるVEGFは、膵島に豊富に存在する毛細血管の形態構築、機能維持に重要な役割を果たしている。一方、血管内皮細胞も様々な生理活性物質を産生し、膵β細胞の機能調節に関与している。 申請者らは自然発症糖尿病モデル動物であるSDTラットを解析し、SDTラットでは膵β細胞から分泌されたVEGFの過剰シグナルが糖尿病発症の原因となっているという新たな機序を発見した。本研究では、その分子機構を明らかにすることと、げっ歯類やヒトの糖尿病発症にこれらの相互作用の異常がどれだけ普遍的に寄与しているかを検討する。 本年度は、SDTラットの膵島におけるトランスクリプトームの解析を行った。当初は、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション法で膵島組織を回収し、cDNAアレイ解析による網羅的解析を目指したが、膵島から回収されるRNAの量が不足し、cDNAアレイ解析は不意可能であった。そこで、コラゲナーゼ法により膵島を単離しVEGFシグナルの異常とその下流シグナルの解析を行った。VEGFは膵β細胞の含量と細胞外への分泌量を測定したところ、SDTラットではVEGFの細胞外への放出が著明に増加していることが明らかになった。また、興味深いことにSDTラットでは血管内皮細胞から産生されると考えられるサイトカインの一つが著明に増加していることが明らかになった。そこで、SDTラットの糖尿病発症を抑制することを既に見いだしているチロシンキナーゼ阻害剤で膵島を処理するとこのサイトカインの産生が抑制されることが明らかになった。SDTラット以外の糖尿病モデルでは、SDTラットでは著効を示したチロシンキナーゼ阻害剤の糖尿病発症抑制効果はほとんどなく、過剰なVEGFシグナルによる糖尿病は血管炎症を主体とする糖尿病のサブタイプの発症機序である可能性も考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標は、SDTラットにおけるVEGFシグナルの異常とその下流シグナルの解析であった。サンプル量の問題から、解析アプローチは変更せざるを得なかったが、結果的にはVEGFシグナルを受けた血管内皮細胞のシグナルの異常を同定できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた結果に基づき、さらに下流の膵β細胞破壊のシグナルを同定し、糖尿病の発症や進展を抑制する新たな治療標的の同定を目指す。実験計画はほぼ当初に提案したとおり進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は全て実験遂行のための消耗品購入に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)