2011 Fiscal Year Research-status Report
上皮由来の線維芽細胞様細胞の癌間質における新規作用メカニズムの解明
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23790455
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
白木原 琢哉 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (30548756)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | EMT / 癌微小環境 / TGF-beta / FGF-2 |
Research Abstract |
癌微小環境に存在して癌の浸潤・転移を促進することが過去の研究結果から推測される正常上皮細胞に由来するEMT獲得活性型線維芽細胞様細胞の存在を示すことを目的とした実験を行った。当初の研究計画通り、まずはTGF-betaとFGF-2によって誘導されたEMT獲得活性型線維芽細胞様細胞のマーカー分子を探索するためのマイクロアレイ解析を実施した。マウス乳腺上皮細胞株をTGF-betaもしくはTGF-beta+FGF-2にて一週間刺激したところ、約450遺伝子の発現上昇がTGF-beta+FGF-2で刺激した細胞でのみ認められた。その中から細胞骨格、細胞運動、細胞分化等との関連性が報告されている遺伝子群を抽出してmRNA発現量の経時変化を観察し、約10種類のマーカー候補分子へと絞込みを行なった。これらの分子を検出する抗体をそれぞれ複数購入してウェスタンブロットと細胞蛍光免疫染色を行い、タンパク質レベルでの発現上昇が認められた数種類の遺伝子について現在腫瘍組織での存在を確認するべく組織染色を遂行している。また、この数種類のマーカー候補遺伝子についてはsiRNAを用いたノックダウンや阻害剤による機能阻害を行い、形態変化や運動能、細胞外マトリックス分解能など活性型線維芽細胞様細胞の機能や性質に及ぼす影響を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の達成目標であったマイクロアレイ解析を用いての活性型線維芽細胞様細胞の特異的分子の探索は、数種類のマーカー候補分子まで絞込みを行うことができた。実際の腫瘍組織内での存在を示すにはまだ至ってないが、候補分子の機能解析とともに現在進行中であり、すでに論文の執筆の準備を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書では次年度はマウスの使用したin vivoの実験系を用いて新規分子の機能解析を行うとしたが、まずは免疫染色による発現解析とin vitroでの機能解析を完了した時点での成果を論文とする。癌微小環境の研究は未解明の部分が多く、活性型線維芽細胞様細胞のマーカー候補分子の報告は新規性もあり重要であることから次年度の早期の段階での論文発表を目指す。その後は癌細胞との相互作用の詳細な解析やin vivoでの観察を進めることを予定している。また、活性型線維芽細胞様細胞は形態に大きな特徴があることから浸潤突起の観察等も計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
論文投稿を行うために必要な追加実験と論文作製及び学会発表等に使用する。具体的には組織染色を行うための抗体の購入や、増殖、運動能、浸潤能、細胞外マトリックス分解能、幹細胞性維持など新規候補分子の機能解析のために細胞機能や形態を観察に必要な試薬購入などに使用する。
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