2012 Fiscal Year Annual Research Report
腸炎ビブリオの3型分泌装置2の質的、量的分泌制御機構の解析
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23790474
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
児玉 年央 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (20346133)
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Keywords | Vibrio parahaemolyticus / T3SS / effector / enterotoxicity |
Research Abstract |
腸炎ビブリオは主要な食中毒原因菌であるが、その下痢誘導機構については不明な点が多い。申請者はこれまでに小染色体上にコードされる3型分泌装置(T3SS2)が、本菌の下痢原性に必須であることを明らかにしてきた。しかしながら、T3SS2の分泌タンパク質の質的および量的分泌制御機構についてはまったく不明である。申請者はT3SS2の機能解析を行う過程で、遺伝子欠損によりエフェクターの分泌量が劇的に増大する一方で、transloconの分泌量が減少する表現型(T3SS2 switch phenotype)を示す機能未知のORF(T3SS2 switch molecule)を同定した。T3SSが分泌タンパク質の質や量(分泌のタイミング)を厳密に制御していると仮定すると、このORFがエフェクターを効率的に宿主細胞に注入するためのT3SS分泌スイッチとして機能している可能性が考えられた。そこで本研究ではこの機能未知のORFの機能解析することによって本菌のT3SS2分泌機構の詳細を明らかにすることを目的とした。 前年度に作成したエフェクターの抗体を用いてT3SS2 switch phenotypeを確認したところ、検討したすべてのエフェクターの分泌が亢進していた。また解析の過程で、本研究で標的としているORFの下流に存在する機能未知のORFもまた遺伝子欠損することによってT3SS2 switch phenotypeを示すことを見いだした。そこで両タンパク質に対する抗体を作成し、局在解析を行ったところ新たに見いだしたORFがT3SS2依存的に分泌され、宿主細胞内に注入されていることが明らかとなった。これらのことから、本研究で同定した2種類の新規T3SS2 switch moleculeが機能的に相互作用することにより、T3SS2の分泌タンパク質の質および量を制御している可能性が示唆された。
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Research Products
(17 results)