2011 Fiscal Year Research-status Report
ラッサウイルスに対する非増殖型の新規組換えウイルスワクチンの開発
Project/Area Number |
23790516
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
伊藤 睦代 (高山 睦代) 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (70392313)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 応用微生物 / ワクチン / 感染症 / ウイルス |
Research Abstract |
【研究目的】致死的な出血熱であるラッサ熱にはいまだ有効なワクチンがない。さらにその感染防御には液性免疫ではなく細胞性免疫が非常に重要である事が分かっている。そこで、本研究ではラッサウイルスの感染防御ワクチンとして、非増殖性狂犬病ウイルスベクターが有効な手段となりうるかについて、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)のモデル系を用いて個体レベルの解析を行うことを目的とする。【研究実施計画】本年度は実験1:LCMVの抗原蛋白質である糖蛋白質(GPC)の組換えバキュロウイルスによる発現およびそれに対する抗体の作製、実験2:LCMVのGPCを発現する組換え狂犬病ウイルスの作製、実験3:LCMVのGPCを発現する組換えアデノウイルスの作製、実験4:組換えウイルスの培養細胞での性状解析を行う予定であった。【研究成果】実験1について発現GPC蛋白が思った様に得られていないが,現在LCMV感染マウス血清を使用して,GPCを検出する系を用いて実験2,3および4については対応可能となっている.実験2および3のGPC発現組換えウイルスベクターの作製については,必要なプラスミドおよびコスミドの調整を済ませ,現在組換えウイルスを作製中である.これらプラスミドおよびコスミドに組込まれたGPC遺伝子をCAGプロモーター制御下で哺乳類細胞に一過性発現させた結果,上記LCMV感染マウス血清により認識されることを確認した.実験4:組換えウイルスの培養細胞での性状解析については組換えウイルスが得られていないため実施していない.全体的にやや遅れているが組換えウイルスが得られれば当初目的を達成出来るものと考えられる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,実験1のLCMVの抗原蛋白質GPCのバキュロウイルスによる発現とそれに対する抗体の作製,について発現蛋白質の大量調整が予定通りに進んでおらず当初計画より遅れている.しかし, LCMV感染マウス血清を使用して発現GPC蛋白質を確認することが出来ており,実験2および3の組換えウイルスによるGPC蛋白質の発現は確認出来る体制が出来ている.実験2のLCMVのGPCを発現する組換え狂犬病ウイルスの作製ついて目的遺伝子のサブクローニングおよび構造確認,組換え狂犬ウイルスゲノムプラスミド等の構築および構造確認は完了している.しかし,組換えウイルスがまだ回収出来ておらず,当初計画よりやや遅れている.実験3:LCMVのGPCを発現する組換えアデノウイルスの作製について組換えアデノウイルス作製に必要なコスミドベクターの作製および構造確認は完了している.現在組換えウイルスを作製中であり,当初計画よりやや遅れている.
|
Strategy for Future Research Activity |
GPC蛋白質に対する抗体については,現在LCMV感染マウス血清を用いて実験を進めているが,今後動物個体での免疫反応の解析等においてはGPCに対する抗体を使用する事が望ましい.適当なバキュロウイルスクローンが得られなかった原因としては,コンストラクトやタグが適当でなかった可能性があるため,現在コンストラクト等を変えて検討しているところである.組換えアデノウイルスおよび狂犬病ウイルスの作製は当初予定よりやや遅れているが,基本的には予定通りに進めていく.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究計画がやや遅れたため,動物購入・飼育費や試薬購入費等に残額が発生した.組換えウイルスを作製するための遺伝子工学関連試薬,蛋白質工学関連試薬の購入は既に済んでいるため,来年度の研究費とともに次年度は標識抗体,免疫学関連試薬および実験動物購入費,飼育費を主に支出する予定である.また,論文の投稿や研究発表に必要な経費も支出予定である.
|
Research Products
(4 results)