2012 Fiscal Year Research-status Report
ラッサウイルスに対する非増殖型の新規組換えウイルスワクチンの開発
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23790516
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
伊藤 睦代(高山睦代) 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (70392313)
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Keywords | 応用微生物 / ワクチン / 感染症 / ウイルス |
Research Abstract |
【研究目的】致死的な出血熱であるラッサ熱にはいまだ有効なワクチンがない。さらにその感染防御には液性免疫ではなく細胞性免疫が非常に重要である事が分かっている。そこで、本研究ではラッサウイルスの感染防御ワクチンとして、非増殖性狂犬病ウイルスベクターが有効な手段となりうるかについて、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)のモデル系を用いて個体レベルの解析を行うことを目的とする。 【研究実施計画】本研究は当初2年間を予定していたが進行に遅れが出たため,3年間に変更した.本年度は実験1:LCMVの抗原蛋白質である糖蛋白質(GPC)の組換えバキュロウイルスによる発現およびそれに対する抗体の作製、実験2:LCMVのGPCを発現する組換え狂犬病ウイルスの作製、実験3:LCMVのGPCを発現する組換えアデノウイルスの作製、4:組換えウイルスの培養細胞での性状解析を行う予定であった. 【研究成果】実験1については前年度得られたバキュロウイルスにおいてGPCの発現が確認出来ずコンストラクト等を変えて検討していたが,結局目的のウイルスを得る事が出来なかった.そこで,ハイブリドーマを分譲してもらいGPCに対するモノクローナル抗体を精製することが出来た.実験2については組換えウイルスの作出に成功し,高力価ウイルスストックを作製中である.実験3についても同様に組換えウイルスを得て高力価ウイルスストックを作製中である.実験4については実験2および3で得られた組換えウイルスが培養細胞でGPCを発現している事をモノクローナル抗体を用いて蛍光抗体法により確認した.また,組換え狂犬病ウイルスの培養細胞での至適培養条件について検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに,LCMVの抗原遺伝子GPCを挿入した組換え狂犬病ウイルスおよびアデノウイルスの作出に成功した.また,ハイブリドーマ細胞を入手し,GPCに対するモノクローナル抗体を精製することが出来た.そこで,モノクローナル抗体を用いて,組換え狂犬病ウイルスおよびアデノウイルスが培養細胞において,GPCを発現している事を蛍光抗体法により確認した.また,GPC発現組換え狂犬病ウイルスの培養細胞での最適な培養条件および濃縮・精製方法について検討した.現在この方法を用いて高力価精製ウイルス液の作製を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,実験5:感染防御試験,実験6:末梢血を用いた細胞性免疫反応の解析および有効性の解析を行う予定である.特に動物を使用した実験はP3実験施設を使用するため,実験施設の空き状況を考慮しながらLCMVを使用しない部分についてはP2動物実験施設で実験を行うなど柔軟に対応していく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究計画がやや遅れたため,動物購入・飼育費や試薬購入費等に残額が発生した.次年度の研究費はマウスおよび動物実験に関する消耗品(飼育関連用品,フローサイトメトリー関連試薬等)の購入に充てることとしたい.研究成果の発表や情報収集のための学会等への参加費や交通費も支出予定である.また,論文の英文校閲や別刷り等の投稿に係る費用にも充てる予定である.
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Research Products
(3 results)