2012 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞・前駆細胞ニッチの形成を調節する分子基盤の解明
Project/Area Number |
23790533
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾松 芳樹 京都大学, 再生医科学研究所, 助教 (80437277)
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Keywords | ニッチ / 造血幹細胞 / サイトカイン / ケモカイン / 骨髄 |
Research Abstract |
造血幹細胞・前駆細胞は骨髄に存在するニッチ(niche)と呼ばれる特殊な微小環境によって維持されていると考えられており,私たちはケモカインCXCL12を高発現する細網細胞(CAR細胞)が,ニッチを構成する特別な間葉系前駆細胞であることを証明した.この知見により,造血・免疫系形成に必須のCAR細胞の形成機構の解明は,免疫系形成の理解のために重要な問題となった.そこで本研究ではCAR細胞の形成を調節する分子基盤を解明するために,CAR細胞特異的な遺伝子に注目し,その役割を明らかにすることを目的として研究を行い,以下のような成果を得た. ・CAR細胞の形成および機能を調節する分子機構の解明 CXCL12/GFPノックインマウスを用いてCAR細胞と,胎生期の肢芽間充織細胞や,骨芽細胞などの他の間葉系細胞での遺伝子の発現量を比較を行うに先立ち,細胞外マトリクスを除去する手法や骨芽細胞特異的細胞表面マーカーを検討すること等で骨芽細胞をより純化する方法を開発した.そして純化したCAR細胞と肢芽間充織細胞や骨芽細胞からmRNAを抽出し,マイクロアレイやRT-PCR法により発現遺伝子の比較解析を行い,CAR細胞特異的に発現する遺伝子のうちCAR細胞の形成およびニッチとしての機能に関与する可能性のある分子を複数同定した.現在は同定した複数の遺伝子について、欠損マウスの作成を行い、その表現型の解析中である. ・CAR細胞の培養による解析 CAR細胞の自己複製能や多分化能について解析するためにはシングルセルレベルでCAR細胞を培養する系の確立が重要であったがCAR細胞を蛍光細胞分離装置を用いて分離すると,従来の骨髄細胞の培養条件ではほとんど培養することができなかった.そこでCAR細胞に至適な培養条件の検討を行い,少ない頻度ながらシングルセルレベルでCAR細胞を培養する系が構築されつつある.
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