2012 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシン受容体とその関連因子による自然免疫応答およびTh17分化の制御
Project/Area Number |
23790545
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
木村 彰宏 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20533318)
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Keywords | ダイオキシン受容体 / マクロファージ / 活性酸素 / AIM |
Research Abstract |
本研究期間において、ダイオキシン受容体として知られているaryl hydrocarbon receptor (AhR)がリステリア感染に対して抵抗性を示す重要な因子の一つであることを解明した。リステリア感染によりマクロファージにおいてAhRが誘導され、AhR欠損マウスではコントロールマウスに比べ細菌感染に対する感受性が上がっていた。一方で、AhR欠損マクロファージではリステリア感染による炎症性サイトカインの産生がコントロール細胞に比べ有意に上昇していた。従って、AhRによる細菌感染に対する抵抗性の促進は炎症性サイトカインによるものでないことが示された。 さらに解析を進めたところAhRはリステリア感染により誘導されるマクロファージの細胞死を抑制していることが明らかになった。AhRはapoptosis inhibitor of macrophage (AIM)という因子を誘導することでマクロファージの細胞死を抑制していた。AIMのプロモーター領域にAhR結合配列があることを確認し、リステリア感染後AhRがその領域にリクルートされることでAIMを誘導していることを解明した。 AhRは細胞内に侵入したリステリアを処理するのにも重要な役割を担っていることが判明した。リステリアなどの細菌処理において重要な役割を担っているのが活性酸素(ROS)であり、AhRはこのROSの産生を促進することで細菌処理を行っていた。 これまでにAhRはさまざまな免疫応答を制御していることが示されてきたが、本研究において環境応答因子の一つであるAhRが細菌感染においても重要な役割を担っていることが証明された。
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