2011 Fiscal Year Research-status Report
ナノ粒子の表面電荷と嗅神経を介した脳への移行量との関係
Project/Area Number |
23790659
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松井 康人 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50533501)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ゼータ電位 / 量子ドット / 取り込み量 |
Research Abstract |
A549(肺胞上皮)細胞を35 mm/Tissue Culture Dish中で72時間培養し、表面の修飾基が異なる3種の蛍光ナノ粒子Qdot 565 ITK Carboxyl Quantum Dots、Qdot 565 ITK Amino(PEG)Quantum Dots、Qtracker 565 non-targeted Quantum Dotsを、それぞれ個数濃度が1.0×1012 個/mLとなるように、血清を含まないD-MEM培地に懸濁させ曝露した。懸濁粒子の粒度分布とゼータ電位を測定し、ゼータ電位に対する細胞への取り込み量を、顕微鏡観察により定量した。 どの粒子表面も負に帯電しており、カルボキシル修飾のゼータ電位が一番大きく-13.1 mV、アミノ修飾が-1.36 mV、無修飾が-0.46 mVであった。各粒子とも曝露からの時間が経過(0.5、1、24時間後)するほど細胞内の蛍光量が増加しており、局所的な蛍光量の存在も確認することができた。共焦点顕微鏡による高さ方向のスライス像からは、細胞内部よりも細胞膜上に多くの粒子が存在していることが確認できた。カルボキシル修飾、及び無修飾群において、曝露後30分群に対して、1時間後群 (p<.001)と24時間後群 (p<.001)の粒子取り込み量が有意に増加した。曝露後30分群において、無修飾群に対して、カルボキシル修飾、及びアミノ修飾群(p<.001)の粒子取り込み量が有意に増加した。曝露後1時間、及び24時間群において、カルボキシル修飾群に対して、アミノ修飾群(p<.001)、及び無修飾群(p<.005)の粒子取り込み量が有意に増加した。 曝露から30分間以内に取り込みがあったと考えられるカルボキシル修飾、及びアミノ修飾においては、曝露から21分後には粒子の取り込みが始まることも確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
顕微鏡による定量では、視野にある細胞中の定量が限界であり、培養細胞全体に取り込まれた粒子数を反映できていない。今回の観察で用いている共焦点レーザー顕微鏡は、高さ方向に対するスライス像を得ることができるため、粒子が細胞の表面に付着しているのか、細胞質に存在しているのかの区別ができる点では非常に優れており、当初の研究計画通りの手法であった。一方で、次年度にはフローサイトメトリーを用いることで、細胞群に対する粒子の取り込み量を定量していく。
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Strategy for Future Research Activity |
フローサイトメトリーを用いた細胞への侵入量を定量評価していく。本学の放射性同位元素総合センターに、昨年度末に動物を対象としたPET/SPECTが導入されたこともあり、定量評価の後に、実験動物を用いた体内動態評価も試みる計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予算は配分比も申請内訳と近い状況であり、次年度も同じペースで活用する計画である。本年度は、大学院生にお手伝いいただく機会が少なかったが、次年度の計画では細胞培養の頻度が格段に高くなるため、謝金については申請通りの運用を予測している。
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Research Products
(1 results)