2011 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子多型別にみた個別の食事指導による前立腺がん一次予防法の開発
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23790668
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
安藤 亮介 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30381867)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 前立腺がん / 遺伝環境交互作用 / 食事 / 一次予防 |
Research Abstract |
「前立腺がん遺伝子多型研究」の対象者については、Short food frequency questionnaire (S-FFQ)の解析と、PPAR-γ遺伝子多型(Pro12Ala: rs1801282、C161T: rs3856806)の分析を終了した。対象者を、病理結果から前立腺がん症例(110名)、生検陰性症例(214名)に分類し、比較・検討した。S-FFQ から推定した1日あたりの脂肪摂取量の中央値で対象者を2群に分け、各遺伝子多型の前立腺がんへの作用を、脂肪摂取量との相互作用を含めて、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。前立腺がん症例群-生検陰性症例群間で、脂肪摂取量に差を認めなかった。遺伝子多型Pro12Alaの分布は両群間で差を認めなかったが、C161Tは前立腺がん症例群で、Tアレル保持者が有意に少なかった(OR: 0.53, 95%CI: 0.31-0.90)。C161T遺伝子多型のTアレルを持ち、脂肪摂取の少ない群で、前立腺がんリスクの低下(OR: 0.32, 95%CI: 0.13-0.79)を認めたが、有意な相互作用は認めなかった(p for interaction: 0.13)。以上より、PPAR-γ遺伝子多型(C161T)は、前立腺がんリスクの低下と関連していた。PPAR-γ遺伝子多型(C161T)のTアレル保持者に対しては、低脂肪食を指導することにより、前立腺がんの一次予防が期待される。一方、本研究の対照群を登録する「岡崎研究」に関しては、平成23年度中に参加者の研究登録を完了した。最終的な研究登録者数は、7,587名(男性4,176名、女性3,411名)。今後、「岡崎研究」の登録者から、前立腺がんのない男性(約300名)を対照群として抽出し、「前立腺がん遺伝子多型研究」から登録した前立腺がん症例との症例-対照研究を施行する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「前立腺がん遺伝子多型研究」から登録した症例群については、栄養摂取状況調査に用いたShort food frequency questionnaire (S-FFQ)の解析のみならず、PPAR-γ遺伝子多型(Pro12Ala: rs1801282、C161T: rs3856806)とアディポネクチン遺伝子多型(G276T: rs1501299)の解析を完了した。また、結果の分析までには至っていないが、血清中の全脂肪酸組成比についても、測定を終了している。以上より、「前立腺がん遺伝子多型研究」からの対象者については、ほぼ、研究計画通りに研究が進んでいる状況と考えている。一方で、「岡崎研究」については、7,587名(男性4,176名、女性3,411名)にのぼる研究参加者の登録を終了しているが、対照群の抽出とデータ解析までは、施行できていない。大規模な研究参加者のデータ入力および、データクリーニングに時間を要していることが、主たる原因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を推進していくためには、「岡崎研究」の研究参加者のデータ入力および、データクリーニングの効率化が必要である。そこで、研究参加者のデータ入力および、データクリーニングに携わる研究員の増員を予定している。データ入力の完了後、速やかに前立腺がんのない男性(約300名)を対照群として抽出する。栄養摂取状況調査に用いたShort food frequency questionnaire (S-FFQ)の解析、PPAR-γ遺伝子多型(Pro12Ala: rs1801282、C161T: rs3856806)とアディポネクチン遺伝子多型(G276T: rs1501299)の解析については、「前立腺がん遺伝子多型研究」の対象者について、すでに終了しており、解析に必要な手技については確立しているため、円滑に遂行可能と考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在のところ、申請時と変更ない。
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