2011 Fiscal Year Research-status Report
包括的評価による有機フッ素化合物n-EtFOSEの胎児期・幼若期曝露影響の解明
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23790676
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
坂 晋 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助手 (30399828)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 環境中毒 / 内分泌かく乱物質 / 次世代影響 / 難分解性 |
Research Abstract |
本研究は平成23年度から25年度の3年間の間に、これまで申請者が実施し蓄積してきた「胎児期曝露による出生時への影響」に加え、平成23年度に「幼若期曝露による生殖時期への影響」、平成24年度に「胎児期曝露による生殖時期への影響」をそれぞれ調べ、n-EtFOSEの胎児期・幼若期曝露による生殖系への影響を包括的に評価することが目的である。その中で、平成23年度は、以下の2点について主に研究を進めた。(1)これまでに蓄積した「胎児期曝露による出生時への影響」のデータを利用し、胎児期におけるN-EtFOSE曝露によって、胎盤重量の増加、および胎盤のホルモン応答に関与する遺伝子群や血管形成に関与する遺伝子群の発現量変化を明らかにした。また、これらの影響は、雌胎仔より雄胎仔において顕著であることを見出した。(2)雄幼若期におけるN-EtFOSEによる生殖系への影響も明らかにするために、N-EtFOSEを コントロール群(0 mg/kg/day)、低濃度群(1 mg/kg/day)、高濃度群(10 mg/kg/day)の各条件で、3週齢のWistarラット(各群それぞれ5匹ずつ)に6週間経口投与した。その結果、投与12日目から、高濃度群において、コントロール群や低濃度群と比較して有意な体重減少を認めた。また、投与終了時における対肝臓重量の増加ならびに相対精巣重量の増加が明らかになったことから、N-EtFOSE幼若期曝露による雄の精巣への影響が示唆された。精子形成をはじめとした生殖系への影響について、組織学的検討を行うとともに、血中ホルモンやステロイド合成酵素関連遺伝子の発現などとの関連を調べることで検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は平成23年度から25年度の3年間の間に、これまで申請者が実施し蓄積してきた「胎児期曝露による出生時への影響」に加え、平成23年度に「幼若期曝露による生殖時期への影響」、平成24年度に「胎児期曝露による生殖時期への影響」をそれぞれ調べ、N-EtFOSEの胎児期・幼若期曝露による生殖系への影響を包括的に評価することが目的である。研究の目的に対して、平成23年度終了時点で「胎児期曝露による出生時への影響」に加えて、「雄の幼若期曝露による生殖時期への影響」に関する研究を進めている状況であり、「雌の幼若期曝露による生殖時期への影響」に関しては、現時点で未実施である。当初の予定より「胎児期曝露による出生時への影響」に関する研究に時間がかかったこと、また、「雄の幼若期曝露による生殖時期への影響」を明らかにするための経口投与実験が6週間毎日投与する必要上、設定できる期間が限られることなどから、平成23年度研究計画の一部である「雌の幼若期曝露による生殖時期への影響」について、実施に至らなかった。そのため、当初研究計画に比べ、研究の達成度はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、「雌の幼若期曝露による生殖時期への影響」ならびに「胎児期曝露による生殖時期への影響」を中心に研究を進める予定である。それぞれについて投与実験を行ない、平成25年度の包括的評価に向けて、必要なデータやサンプルを集める。また、平成23年度に実施した「雄の幼若期曝露による生殖時期への影響」に関して、相対重量の変化がみられた精巣に着目し、精子形成をはじめとした生殖系への影響について、明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は支払額として1,800,000円を請求した。平成24年度は、本研究の実験系の確立と「雄の幼若期曝露による生殖時期への影響」について研究を実施したが、「雌の幼若期曝露による生殖時期への影響」については、実施に至っていない。そのため、平成23年度の実質支出額は請求支払額に比べて少ない状況である。平成23年度に実施できなかった「雌の幼若期曝露による生殖時期への影響」と当初の計画通りに「胎児期曝露による生殖時期への影響」を中心に行なう。そのため、平成24年度は、支払額として計画通りの額を請求し、平成23年度の差引額と併せて、研究推進のために使用する。当初の計画に沿って、それぞれの影響について、成長や生殖系への影響を組織学的手法ならびに生化学的手法を用いて評価し、影響に関与する因子を分子生物学的手法によって探索する。
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