2011 Fiscal Year Research-status Report
覚醒剤少量反復投与ラットの神経細胞障害の解析~小胞体ストレスからのアプローチ~
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23790731
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
武市 敏明 金沢医科大学, 医学部, 助教 (90460360)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Methamphetamine / 小胞体ストレス / 酸化ストレス / アポトーシス |
Research Abstract |
少量のMethamphetamine (METH)を前投与することにより、中脳に小胞体ストレス蛋白が増加した動物へ多量のMETHを投与することによる神経細胞のMETH耐性の評価を行った。ドーパミン作動性神経細胞のマーカーであるTH、アストロサイトの活性化の指標となるGFAP、小胞体ストレスのマーカーとしてGrp78、酸化ストレスのマーカーであるSOD1、アポトーシス関連蛋白のBcl-2、BaxおよびCHOPをWestern Blottingにより解析した。その結果、生食を前投与された動物では多量のMETHの投与後にTHの減少、GFAPの増加およびCHOPの増加というMETHによる神経毒性を示す結果を得た。しかし、GRP78レベルには、有意な変化を認めなかった。また、SOD1は多量のMETH投与後3日目に有意な増加を示した。 対照的に、少量のMETHを前投与し中脳に小胞体ストレス蛋白が増加した動物へ多量のMETHを投与すると、中脳のGRP78レベルのさらなる増加とBcl-2の有意な増加を認め、CHOPの増加抑制が認められた。さらに、THやGFAPに有意な変化を認めず、METHによる神経毒性を示す結果は得られなかった。また、多量のMETH投与後8時間にSOD1の発現が認められ、生食を前投与した動物よりも早期の発現増加を認めた。 これらMETHを前投与した動物の小胞体ストレスの結果は、早期のSOD1の発現やBcl-2の増加と関連していると考えられた。そのため、少量のMETHの前投与は、小胞体ストレスに関連したPathwayを介して、酸化ストレスとアポトーシスのメカニズムを部分的に抑制することで、中脳のMETHの神経毒性に対して保護的に作用している可能性を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低容量のMethamphetamine (METH)を前投与することにより、中脳に小胞体ストレス蛋白が増加した動物へ、高容量のMETHを投与することによる神経細胞のMETH耐性を評価するため、ドーパミン作動性神経細胞のマーカーや、小胞体ストレス、酸化ストレスのマーカー、アポトーシス関連蛋白の解析を行った。その結果、小胞体ストレス蛋白のさらなる増加や、細胞障害やアポトーシスが抑制されていると考えられる結果が得られ、さらに、抗酸化蛋白のSOD1が早期に発現することが認められた。これらの結果は、低容量のMETH前投与によりMETH耐性が認められ、このMETH耐性にSOD1が関与していることが考えられた。このように当初の計画であるMETH耐性の評価を行えたことから、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
中脳に小胞体ストレス蛋白が増加した動物へ高容量のMETHを投与した時のストレス応答をタンパク質レベルにて評価する。モデル動物の中脳より蛋白質を抽出し、Western Blottingによる解析を行う。さらに、リン酸化抗体を用いてWestern Blottingを行いストレス応答の経路を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Western Blottingの感度改善のため、高効率なBlotting方法へ変更した。これに伴う試薬単価の上昇により、年度内の試薬購入を見送ったが、次年度の研究費と合わせることで、研究計画を変更することなく研究を遂行することが出来ると考える。
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