2012 Fiscal Year Research-status Report
覚醒剤少量反復投与ラットの神経細胞障害の解析~小胞体ストレスからのアプローチ~
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23790731
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
武市 敏明 金沢医科大学, 医学部, 助教 (90460360)
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Keywords | ER stress / Western Blotting / Methamphetamine / apoptosis |
Research Abstract |
少量のMethamphetamine (METH)を反復投与した動物へ多量のMETHを投与することによる中脳におけるMETH耐性の評価を行った。 まず、酸化ストレス産物の1つである4-hydroxy-2-nonenal(4-HNE)修飾タンパク質を認識する抗4-HNE抗体によるWestern blottingにおいて酸化ストレスについての解析を行った。その結果、溶媒を前投与した動物では有意な増加を認めるものの、METH少量前投与動物では4-HNEの増加は抑制されており、METH少量前投与により酸化ストレスが低減されることを確認した。 次に、apoptosis pathwayに関係する抗ASK1抗体および抗リン酸化ASK1抗体を用いたWestern blottingによる解析では、多量のMETH投与において増加するリン酸化ASK1がMETH少量前投与により抑制されており、さらに、抗AKT抗体および抗リン酸化AKT1抗体を用いた解析により、METH少量前投与におけるAKT1のリン酸化の有意な増加を認めた。これは、多量のMETH投与により引き起こされるASK1を介したapoptosisが、METH少量前投与により抑制されていることを示唆する結果と考える。 また、小胞体ストレスpathwayのマーカーについて検討を行ったところ、METH少量前投与においてATF6が、リン酸化AKT1の増加やリン酸化ASK1の抑制を認めるタイミングで活性化していることが認められた。一方、spliced XBP1の発現量に変化を認めなかった。これらの結果は、METHを前投与した動物の中脳では、単に酸化ストレスの低減により細胞障害が抑制されるだけでなく、小胞体ストレスpathwayを介したapoptosisの抑制機構が存在している可能性を示唆しているものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低容量のMethamphetamine (METH)を前投与することにより、中脳に小胞体ストレス蛋白が増加した動物へ高容量のMETHを投与することによる神経細胞のMETH耐性を評価するため、apoptosis pathwayに関する蛋白のリン酸化状態、小胞体ストレスに関するマーカーの解析を行った。 その結果、ASK1-JNK phathwayの抑制とリン酸化AKT1の増加を認め、少量のMETH前投与がMETHの多量投与によるapoptosisを抑制することを示唆する結果を得られた。さらに、小胞体ストレス pathwayの1つである、ATF6の活性化パターンに差異を認め、酸化ストレスの低減による細胞障害の抑制だけでなく小胞体ストレス pathwayを介した細胞障害の抑制メカニズムの可能性が考えられた。 このように当初の計画であるMETH耐性の評価を行えたことから、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
中脳に小胞体ストレス蛋白が増加した動物へ高容量のMETHを投与時のストレス応答をmRNAレベルにて評価する。 モデル動物の中脳よりmRNAを抽出し、Real Time PCRによる解析を行う。さらに、引き続きタンパク質を抽出し、Western Blottingによる解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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