2011 Fiscal Year Research-status Report
血小板由来膜小胞体による血管内皮前駆細胞機能増強効果を応用した血管新生療法の開発
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23790886
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
大塚 昌紀 久留米大学, 医学部, 助教 (30461429)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 血管内皮前駆細胞 / 血小板由来膜小胞体 / 血管新生 / RANTES |
Research Abstract |
動脈硬化のリスクファクターを有する患者由来の血管内皮前駆細胞(EPC)機能は健常人に比べ低下していることが報告されており、現在、当施設でも施行しているEPCを用いた血管新生療法においても十分な治療効果が得られていないことが指摘されている。EPCは一般的にCD34陽性単核球細胞分画中に存在すると報告されているが、最近、血小板由来膜小胞体(PMP)がCD34陽性単核球細胞の細胞機能を高めたとの報告があり、本研究ではPMPがEPCの血管新生能力を回復・増強させうるか否かについて、in vitro及びin vivo実験での検証を行っていくことを目的としている。 平成23年度は動脈硬化のリスクファクターを有する患者由来のEPCを培養する際、同一生体内から抽出したPMPとの混合培養液内で一定期間共培養し得られたEPCの形成数、遊走能や接着能などの細胞機能についての検証を行った。結果、PMPはEPCの形成数や遊走能には影響を与えなかったが、接着能においては有意な増強効果が認められた。 またPMPから分泌されている血管新生関連タンパクの検出を行ったところ、RANTES(regulated on secretion, normal T-cell expressed,and secreted)が高濃度に分泌されていることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の目標としては(1)PMP共培養後のEPCの分化能、増殖能、遊走能、接着能などのin vitroにおける血管新生評価と(2)血管新生関連タンパクに注目したPMP自身の解析を行っていくことを交付申請書に掲げていた。 前述の如く、当該年度の研究にてPMPはin vitroにおいてEPCの接着能を有意に増強させていたこと、また、PMPはRANTESを高濃度に分泌していたことが判明した。 以上のごとく、当初の実験計画書通りに順調に経過していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度以降はPMP共培養後のEPCを動物モデルを用いたin vivoでの血管新生評価を行っていく。 具体的には免疫不全マウスを用いた下肢虚血動物モデルを作製し、PMPと共培養したEPCを経静脈的に投与する。そして14日後における虚血下肢内の血管新生をレーザードップラーによる血流評価および免疫学的染色法による毛細血管密度評価にて行っていく。また、PMPより高濃度に分泌していたRANTESがEPC関連の血管新生において関与があるのかも含め、血管新生効果のメカニズムの解明も行っていく方針である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、これまでと同様にEPCやPMPの培養、抽出に関して必要な器材や試薬を続けて使用していくことに加え、新たに動物モデルを用いたin vivoでの実験を行っていく予定の為、それに関連した免疫不全ラット、飼育費、手術器具、細胞染色の為の試薬などの購入費を計上する。また、血管新生効果のメカニズム解明として接着能関連タンパク物質の検出に必要な試薬や器材の購入と今回、PMPより高濃度に分泌していたRANTESの関与を調べる為にRANTES中和抗体の使用を計画している。
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Research Products
(1 results)