2012 Fiscal Year Research-status Report
造血幹細胞移植後の血栓性微小血管症の発症機序の解明
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23790963
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
三井 亜希子 日本医科大学, 医学部, 助教 (50544417)
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Keywords | GVHD / 造血幹細胞移植 / 腎 / 血栓性微小血管症 |
Research Abstract |
造血幹細胞移植後に腎障害を呈した腎GVHD症例、特に腎微小血管の内皮細胞に対する抗体産生により発症したchronic humoral GVHDの関与が考えられる移植後TMAの症例を経験し、論文として報告した。現在、造血幹細胞移植後TMAの場合には免疫抑制薬の副作用を考えて減量されることが多いが、移植後TMAの原因にhumoral GVHDが関与する場合には、免疫抑制薬の増量を、もしくは抗体が関連している場合には血漿交換や抗CD20抗体の使用が必要となる。本研究で臨床で行われた造血幹細胞移植後症例の蓄積や、動物実験においてGVHDモデル(特にchronic humoral GVHDモデル)を作成し解析することで、その特徴を明らかにし、移植後TMAの治療や予後の大幅な改善を目指す。実際に臨床で経験した移植後TMAと考えられる症例に免疫抑制薬の増量を行い、良好な経過を得ている症例が蓄積されており、臨床病理学的特徴を解析し、今後症例数が増えた時点で論文として報告する予定である。また、動物実験モデルの作成に関しては、同種間骨髄移植のラットモデルを用いて、急性GVHDの主な標的臓器である皮膚、肝臓、消化管以外に、腎臓においても微小血管障害が存在することを確認し、学会報告するとともに解析をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
造血幹細胞移植後症例の腎病変について臨床病理学的解析を行い、臨床における造血幹細胞移植後TMAの発症機序に慢性GVHDが関与し、その中にchronic humoral GVHDが関与することを論文として報告した。chronic humoral GVHDが関与したと考えられる移植後TMAに免疫抑制薬の増量を行い、良好な経過が得られている症例が徐々に蓄積されてきている。また基礎実験では、現在ラット急性GVHDモデルの作成をし、腎GVHDの解析をすすめているとともに、慢性GVHDモデルの作成をすすめているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
ラットGVHDモデルの確立とそのモデルを用いて、放射線照射や免疫抑制薬の移植後TMAに対する影響、T細胞性や抗体依存性の慢性GVHDの関与を検討し、造血幹細胞移植後TMAの発症原因を明らかにする。さらに、患者血清中や動物モデルでの移植後TMAを発症させる抗体の存在とその特徴を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
臨床検体および動物実験モデルの腎組織の検討のため、引き続き抗体などの試薬の購入、画像解析のための消耗品の購入等に使用する。また、国内・国外の学会に参加し、研究成果の発表を行う。
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Research Products
(5 results)