2012 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系細胞から分化・誘導した脳移行性シュワン細胞による中枢神経脱髄性疾患の治療
Project/Area Number |
23790996
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松瀬 大 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70596395)
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Keywords | 再生医療 / 細胞移植治療 / 中枢神経再生 |
Research Abstract |
本研究は、間葉系細胞からシュワン細胞を誘導し、脱髄モデル動物へ移植治療することで、多発性硬化症の画期的治療を確立することを目的とする。 まず、モデル動物として、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルラットの作成を試みた。慢性モデルが望ましいと考え、DAラットを選択。まずDAラットの骨髄間葉系細胞からbeta-mercaptoethanol(BME)、レチノイン酸(RA)で処理した後、human basic fibroblast growth factor (FGF)、forskolin (FSK)、platelet-derived growth factor-AA (PDGF)、heregulin-beta1-EGF-domain (HRG)の栄養因子を加えることで、シュワン細胞を誘導した。誘導した細胞はS100などのシュワン細胞のマーカーを発現していた。また、PSA-NCAMの発現を調べたところ、誘導前の間葉系細胞は発現が軽度見られたものの、誘導後は発現が低下していた。EAEモデル作成14日後に誘導細胞を髄注。vehicle群、誘導前細胞群、誘導群に分けて移植を行った。移植後、clinical score、体重は他の群と比較し、誘導細胞移植群に改善を認めた。誘導細胞はPSA-NCAMの発現が誘導前より減少していたが、生着は良好であった。 本研究は、シュワン細胞の、中枢軸索再生作用に着目した細胞移植治療開発である。シュワン細胞は末梢性ミエリンを産生するため、中枢神経脱髄性疾患の自己免疫の標的にはならない。シュワン細胞を間葉系細胞から誘導する点で、多発性硬化症に対するシュワン細胞の移植は、画期的な治療法となる可能性がある。
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