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2011 Fiscal Year Research-status Report

新規インスリン抵抗性ヘパトカインセレノプロテインPを標的とした糖尿病治療法の探索

Research Project

Project/Area Number 23791022
Research InstitutionKanazawa University

Principal Investigator

御簾 博文  金沢大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80447680)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywordsヘパトカイン
Research Abstract

本研究の目的は、申請者がこれまでに報告したインスリン抵抗性ヘパトカインであるセレノプロテインPの肝細胞での産生メカニズムならびに標的細胞での作用メカニズムを明らかにすることであった。本年度はまず、培養肝細胞を用いて、抗糖尿病薬メトフォルミンが肝細胞でのセレノプロテインP遺伝子発現を抑制するということ、その下流で転写因子Foxo3がセレノプロテインPの抑制に関わっていることを見出した。また、セレノプロテインPの脂肪細胞への作用に関連して、糖尿病患者の血中セレノプロテインP濃度が脂肪細胞由来因子であるアディポネクチンと負に相関することを見出し報告した(PLoS ONE 2012)。次に、siRNAによる遺伝子ノックダウン法を用いて、セレノプロテインPの受容体探索をおこなった。標的細胞の一つであるC2C12筋管細胞において、いくつかの候補タンパクのノックダウンをおこなった結果、膜タンパクXのノックダウン細胞において、セレノプロテインPタンパク投与によるセレン輸送が有意に減少することを見出した。さらに興味深いことに、このノックダウン細胞においては、セレノプロテインPタンパク投与によるAMPキナーゼ活性抑制効果、PGC1a発現抑制効果のいずれもが有意に減少した。現在この膜タンパクXがセレノプロテインPの骨格筋における受容体として機能する可能性が極めて高いと考えて、膜タンパクXのノックダウン細胞とセレノプロテインPタンパクの結合アッセイをおこなっている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

当初の計画以上に研究は進展した。特に、セレノプロテインPの受容体探索実験においては、候補となった膜タンパク数種類のノックダウン実験をおこなった結果、膜タンパクXのノックダウンをおこなうとセレノプロテインP投与による筋細胞へのセレン輸送が減少することを見出した。加えて、膜タンパクXのノックダウン筋細胞では、セレノプロテインP投与によるAMPキナーゼ活性抑制作用が、ほぼ消失していた。また、マウス骨格筋における膜タンパクXの遺伝子発現をしらべたところ、他の候補タンパクと比較して極めて強い発現が認められた。これらの結果から、膜タンパクXが骨格筋におけるセレノプロテインP受容体であることが強く示唆される。さらに、培養肝細胞におけるセレノプロテインP発現制御に関する実験においても、進展がみられた。メトフォルミンの下流でセレノプロテインP転写制御に関連する因子の網羅的解析をおこなった結果、転写因子Foxo3が関与していることを見出した。さらにAMPキナーゼ阻害薬であるコンパウンドCの同時投与が作用をキャンセルすることから、メトフォルミンはAMPキナーゼ/Foxo3経路を介してセレノプロテインP転写を負に制御していることを見出した(論文作成中)。また、セレノプロテインPの脂肪細胞への作用に関連して、ヒト糖尿病患者における血中セレノプロテインP濃度が、脂肪細胞由来因子であるアディポネクチン濃度と負に相関していることを見出し報告した(PLoS ONE 2012)。

Strategy for Future Research Activity

膜タンパクXがセレノプロテインP受容体として機能することが強く示唆されている。そこで、実際にセレノプロテインPタンパクと膜タンパクXのノックダウン筋細胞との結合を結合アッセイを用いて解析する。さらに、膜タンパクXの全身のノックアウトマウスは胎生致死であることが報告されているので、筋特異的膜タンパクXノックアウトマウスの作成をすでに開始している。さらに、精製セレノプロテインPタンパクは量にかぎりがありマウスへの継続投与が困難であるため、肝特異的セレノプロテインP過剰発現マウスを作成し、セレノプロテインP過剰にともなって起きる全身病態を膜タンパクXを中心に検討する。また、高脂肪食、運動などの刺激によって筋での膜タンパクXの発現が変動するかどうかを、Western Blot法やRealtime PCR法を用いて検討する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

当初想定したより早くセレノプロテインP受容体候補が見つかったため、今年度研究費に未使用額が発生した。次年度は、膜タンパクXの機能解析という次のステップに研究費を使用していく。セレノプロテインP結合アッセイにおいては、膜タンパクXのノックダウンに関連したsiRNA、セレノプロテインPに対する抗体等の費用が必要である。また各種遺伝子改変マウスの作成もしくは飼育費用が必要となる。さらに、膜タンパクXの発現解析のために、Western Blotに関連した費用ならびにRNA抽出、cDNA変換、Realtime PCR法に関連した費用も必要となる。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Inverse correlation between serum selenoprotein P and adiponectin in patients with type 2 diabetes2012

    • Author(s)
      Hirofumi Misu, Kazuhide Ishikura, Seiichiro Kurita, Yumie Takeshita, Tsuguhito Ota, Yoshiro Saito, Kazuhiko Takahashi, Shuichi Kaneko, Toshinari Takamura
    • Journal Title

      PLoS ONE

      Volume: 7 Pages: e34952

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0034952

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 抗酸化ヘパトカインセレノプロテインPによる 運動療法抵抗性の発症2012

    • Author(s)
      御簾博文 篁俊成 斎藤芳郎 高橋和彦 金子周一
    • Organizer
      日本薬学会第132年会(招待講演)
    • Place of Presentation
      北海道大学(北海道)
    • Year and Date
      2012年3月29日
  • [Presentation] インスリン抵抗性誘導ヘパトカインセレノプロテインPによる運動療法感受性の制御に関する検討2012

    • Author(s)
      御簾博文、高山浩昭、金子周一、篁 俊成
    • Organizer
      第26回 日本糖尿病肥満動物学会
    • Place of Presentation
      愛知県産業労働センター(愛知県)
    • Year and Date
      2012年2月18日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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