2011 Fiscal Year Research-status Report
新規G蛋白共役型受容体GPR119の血糖恒常性維持における臨床的意義
Project/Area Number |
23791030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小鳥 真司 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研修員 (30402879)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | GPR119 / 膵臓腸管内分泌ネットワーク / 摂食調節 / 糖代謝調節 / 内因性脂質 |
Research Abstract |
GPR119はClass Aに属するG蛋白共役型受容体で2002 年にオーファン受容体として同定された。当初、GRP119の内因性リガンドはエンドカンナビノイドのオレオイルエタノールアミド(OEA)と報告され、OEAはラットにて外因性投与で摂食抑制を来すことからその臨床的意義が注目されてきた。最近では、N-オレオイルドパミン、5-ヒドロキシエイコサペンタエン酸(5-HEPE)などがGPR119のリガンドとして報告されたが、その合成や分解経路の詳細は分かっておらず、代謝調節に関する意義も不明である。 そこで、申請者らはGPR119の生理的意義を解明する目的で、ヒト組織におけるGPR119 mRNA発現を定量してきた。GPR119 mRNAはヒト膵島にて近傍の膵臓と比べ約10倍と高濃度に検出され、ヒトインスリノーマにて膵島に匹敵する濃度で検出されたことから、GPR119のヒト膵島、特に膵β細胞での高発現が示唆されていた。しかし、ヒトにおけるGPR119蛋白発現の詳細は不明で、膵島における機能的意義も分かっていない。 本研究では、GPR119特異的抗体を用いたヒト組織での免疫組織化学にてGPR119発現の詳細を解明し、ヒト単離膵島でのGPR119アゴニストのインスリン分泌増強作用などを検討することでその機能的意義の解明を目的としてきた。当初使用予定であった抗体の特異性に疑義が生じたため、新たにポリクローナル抗体を作成してきた。現在、GPR119強制発現COS7細胞での免疫細胞科学にて特異性がほぼ確認されつつあり、終わり次第、既に準備してあるヒト組織切片にて免疫組織化学を行う予定である。また、ヒト膵島における検討では以前に観察されていたグルコース応答性インスリン分泌の観察が見られなくなっており、細胞のviabilityの評価、手順の最適化などにて系の安定性を図っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、GPR119特異的抗体を用いたヒト組織での免疫組織化学にてGPR119発現の詳細を解明し、ヒト単離膵島でのGPR119アゴニストのインスリン分泌増強作用などを検討することでその機能的意義の解明を目的としてきた。当初使用予定であった抗体の特異性に疑義が生じたため、特異的抗体が得られやすいC末配列を免疫原として、新たにウサギポリクローナル抗体を作成してきた。現在、GPR119強制発現COS7細胞での免疫細胞科学にて特異性がほぼ確認されつつあり、終わり次第、既に準備してあるヒト組織切片にて免疫組織化学を行う予定である。また、ヒト膵島における検討では以前に観察されていたグルコース応答性インスリン分泌の観察が見られなくなっているが、ヒトではその原因検索が困難であるため、今後ラット単離膵島を用いた細胞のviabilityの評価を行いつつ、インスリン分泌能を指標とした細胞機能障害を歳小とするような手順の最適化を図ることで、実験の継続が可能と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
GPR119特異的抗体を免疫組織化学によるヒトでのGPR119発現の詳細の解明は、当初使用予定であった抗体の特異性に疑義が生じたため、特異的抗体が得られやすいC末配列を免疫原として、新たにウサギポリクローナル抗体を作成した。現在、GPR119強制発現COS7細胞での免疫細胞科学にて特異性がほぼ確認されつつあり、終わり次第、既に準備してあるヒト組織切片にて免疫組織化学を行う予定である。 ヒト単離膵島でのGPR119アゴニストのインスリン分泌増強作用の検討は、以前に観察されていたグルコース応答性インスリン分泌の観察が見られなくなっている問題点がある。ヒトではその原因検索が困難であるため、今後ラット単離膵島を用いた細胞のviabilityの評価を行いつつ、インスリン分泌能を指標とした細胞機能障害を歳小とするような手順の最適化を図ることで、実験の継続が可能と考える。 また、病態モデル動物でのGPR119遺伝子発現調節は上記と独立して実験が可能であり、予定通り勧める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
抗体を用いたGPR119発現の解明に関連して、免疫組織化学関連試薬を使用するほか、適宜追加で切片作成などを行う費用を想定している。 ヒト膵島での機能解析に関連して、各種緩衝液、インスリン測定キットなどを使用する予定である。 病態モデル動物でのGPR119遺伝子発現調節については、動物の購入および維持費、分子生物学試薬、糖脂質代謝の測定試薬、ディスポーザルの手術器具などを購入する予定である。
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[Presentation] G蛋白共役型-脂肪酸受容体GPR40の遺伝性肥満モデルの膵島での発現調節2011
Author(s)
小鳥真司, 冨田努, 孫 徹, 藤倉純二, 野口倫生, 森栄作, 内藤雅喜, 日下部徹, 海老原健, 細田公則,中尾一和
Organizer
第32回日本肥満学会学術集会
Place of Presentation
兵庫県立淡路夢舞台国際会議場(兵庫県)
Year and Date
2011年9月24日
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[Presentation] 新規のG蛋白共役型-脂質受容体GPR119の臨床的意義:ヒトおよびマウスでの膵島における遺伝子発現と膵島機能との連関2011
Author(s)
小鳥真司, 冨田努, 孫徹, 藤倉純二, 野口倫生, 森栄作, 内藤雅喜, 日下部徹, 海老原健, 細田公則, 中尾一和
Organizer
第54回日本糖尿病学会年次学術集会
Place of Presentation
札幌プリンスホテル(北海道)
Year and Date
2011年5月21日
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