2011 Fiscal Year Research-status Report
インスリン抵抗性に関与する自然免疫システムにおけるレジスチン様分子の役割の解析
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23791047
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Research Institution | The Institute for Adult Diseases Asahi Life Foundation |
Principal Investigator |
櫛山 曉史 公益財団法人朝日生命成人病研究所, その他部局等, 准教授 (30435820)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | マクロファージ / 自然免疫 / Relmβ / 分子血管病態 / インスリン抵抗性 |
Research Abstract |
RELMβ(レジスチン様分子β)は、腸管自然免疫において重要な働きを行うが、一方で飽和脂肪酸などの刺激により発現が増加すると、インスリン抵抗性、動脈硬化、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)をきたす原因となることが明らかとなってきた。しかしながらその機序についてはこれまで明らかでなかった。RELMβは腸管のGoblet 細胞と、浸潤マクロファージで発現するが、これらの細胞のcross talk によってRELMβのシグナルがsystemic な自然炎症となって伝えられ、NASH、動脈硬化として発現する可能性が考えられた。そこで、RELMβの存在が腸上皮細胞とマクロファージのcross talk に与える影響をin vitro およびin vivo、またヒトにおけるRELMβ血中濃度変動と腸管からの分泌量の相関について、RELMβ-KO マウス、およびその骨髄移植による血球系でのRELMβ-KO マウス、腸管上皮のみのRELMβ-KO マウスについて検討することとした。現在骨髄移植マウス本研究によって、腸管における自然炎症と代謝疾患の関与について、RELMβを軸とした、腸管上皮の防御機構・炎症とその破綻による代謝疾患の発症、進展の機序を明らかにできると考える。今年度は、NASHモデルマウスでは通常マウスより肝内マクロファージにおけるRELMβ陽性率が高いことが明らかとなった。また、RELMβKOマウスを用いて骨髄移植を行い、NASHモデルについて検討したが、RELMβが全身性または骨髄球において欠損することで、肝の脂肪沈着、繊維化抑制を生じることを認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2011年10月に施設移転となった関係で、8月期~10月期における研究は我々の研究所では実行不可能となった。研究遅延を回避すべく、多施設の研究協力者の助力も得て、いくつかデータも得られているが、研究活動が再開された下半期において、コールドルーム故障など新規建設した施設の初期不良が生じるなどし、他施設を借りるなどしたが効率が悪い結果となった。サンプルの再取得が必要になったものもあった。このため、当初研究予定に比して、若干の遅れを生じた。今回の基金化によって資金の利用については流動的に用いることができるため、計画的購入を行うことができ、次年度で十分に取り戻せると考えられる。研究計画全体としては問題ないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2011年10月に施設移転となった関係で、8月期~10月期における研究は我々の研究所では実行不可能となった。また研究活動が再開された下半期において、コールドルーム故障など新規建設した施設の初期不良が生じるなどし、サンプルの再取得が必要になったものもあった。このため、当初研究予定に比して、若干の遅れを生じているが、データの取得は進んでおり、次年度で十分に取り戻せると考えられる。次年度においては研究設備も十分に稼動することが見込まれており、予定通り研究計画を遂行する。資金運用面に関しても、2011年度使用予定分の残金を2012年に使用して行く。ただし、NASHモデルにおけるRELMβの重要性が特に明らかとなりつつあるため、特にNASHモデルにおける検討に注力する予定である。MCD食では十分なデータが得られたが、より生理的な高脂肪高フルクトース食でも検討を行うこととする。ヒトRELMβの血中濃度および便中濃度測定についても検討を進めており、現在WBによる検出も可能で、ELISAについての標準プロトコルの策定を急いでいる。測定に際しての倫理委員会は当該年度においてすでに承認を得ており、入院患者について見当していく予定となっている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次回骨髄移植における費用、マウス餌、マウスの飼育、実験試薬、投稿料、国際学会における出張費などに使用予定である。
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Research Products
(11 results)