2012 Fiscal Year Annual Research Report
HES1による骨髄性白血病幹細胞の発生および維持の機序の解明
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23791068
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂田 麻実子(柳元麻実子) 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80451805)
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Keywords | Hes1 / 腫瘍抑制因子 / 急性骨髄性白血病 |
Research Abstract |
[目的] これまでの申請者の研究結果から、慢性骨髄性白血病の急性転化においては、Hes1は腫瘍促進因子として働いている。昨年度の研究から、急性骨髄性白血病(AML)において、Hes1は腫瘍抑制因子として働いていることが明らかとなった。AMLにおけるHes1の下流シグナルを明らかにすることにより、Hes1シグナル経路制御による白血病の治療戦略を構築することを目的として、研究を行った。 [方法] Hes1ノックアウトマウス(Hes1-KO)由来胎仔肝およびコントロールマウス由来胎仔肝(control)にレトロウイルスを用いて白血病遺伝子MLL-AF9を導入した。致死量放射線照射したマウスへ移植し、白血病の発症を観察した。白血病細胞を用いて、網羅的な遺伝子発現解析を行った。 [結果] MLL-AF9-Hes1-KO移植マウスはMLL-AF9-control移植マウスより早期に白血病により死亡した。MLL-AF9-Hes1-KO白血病細胞は、MLL-AF9-control白血病細胞に比較して、サイトカイン受容体の発現が亢進していた。MLL-AF9-Hes1-KO白血病細胞をサイトカイン刺激することにより、受容体のリン酸化および下流のERKのリン酸化の亢進が観察された。さらに、サイトカインシグナルに対する阻害剤により、MLL-AF9-Hes1KO白血病の増殖は抑制された。 [結論] Hes1はAMLにおいて、腫瘍抑制因子として働いていることが明らかとなった。下流のメカニズムはHes1によるサイトカイン受容体の発現抑制であった。 [考察] 骨髄性白血病においては、Hes1は腫瘍促進と腫瘍抑制にはたらく場合があることが明らかとなった。さらにはそれぞれの場合における下流のシグナルネットワークを明らかにした。今後は、白血病の戦略的治療を目指した研究を行う必要があると考えられる。
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Research Products
(21 results)