2012 Fiscal Year Annual Research Report
イノシトールリン脂質代謝による喘息病態制御と新規治療薬開発の探究
Project/Area Number |
23791097
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
竹田 正秀 秋田大学, 医学部, 助教 (30466594)
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Keywords | PI3Kγ / 好酸球 / アレルギー / 喘息 / eotaxin |
Research Abstract |
以前に我々が報告した、phosphoinositide 3-kinase(PI3K)γのアレルギー性気道炎症、ならびに気道リモデリングへの関与について、生体内でのメカニズム解明の一手段として、アレルギー性気道炎症に重要な役割を果たす、好酸球細胞機能おけるPI3Kγの関与についてヒト好酸球を用いてin vitroで検討を行った。その結果、PI3Kγ選択的阻害薬AS605240にてヒト好酸球を前処理することにより、細胞内EKR1/2シグナル経路のリン酸化の抑制を介して、好酸球のeotaxinによる遊走能、接着能および脱顆粒放出が抑制されることを明らかにした。以上の実験はpan-PI3K阻害薬であるLY294002を用いても同様の解析を行ったが、PI3Kγ選択的阻害薬の好酸球細胞機能の抑制効果は、LY294002と同程度のものであった。また、好酸球の生存における阻害薬の影響も検討したところ、LY294002では、好酸球のアポトーシスを誘導したものの、AS605240では、好酸球の生存に影響を及ぼさなかった。これまでの動物実験における検討によって、Pan-PI3K阻害薬は治療応用を考えたとき、生体への重大な副作用の可能性が否定できないが、今回の研究により、PI3Kのisoformのひとつである、PI3Kγを選択的に阻害することでもPan-inhibitorと同程度の好酸球細胞機能抑制効果が明らかにされた。in vitroにてヒト好酸球細胞機能におけるPI3Kγの関与がそのメカニズムとともに、また細胞の生存に影響を及ぼすことなく関与することが明らかにされたことにより、PI3Kγをターゲットとした治療、特にPI3Kγ選択的阻害薬が喘息における新薬の一つとなり得る可能性がより高いものであることが実証され、今後の喘息治療の発展に寄与する重要な成果と考えられる。
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