2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23791123
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
志村 絵理 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30586342)
|
Keywords | 表皮γδT細胞 / 皮膚免疫応答 |
Research Abstract |
本研究は、表皮γδT細胞の解析するツールの作成とその解析が目的である。具体的には、表皮γδT細胞特異的に発現する遺伝子を同定し、それをもとに表皮γδT細胞欠損マウスの作成を行う。その後、作成したマウスを利用し、表皮γδT細胞の機能を解析する。本年度は、表皮γδT細胞特異的に発現する遺伝子を同定するため、表皮、腸管、脾臓の各組織から、γδT細胞を単離した。その後、これらγδT細胞のサンプルについてマイクロアレイ解析を行い、表皮γδT細胞に発現する遺伝子群から腸管、脾臓のγδT細胞に発現する遺伝子群との比較により、表皮γδT細胞特異的に発現する遺伝子の候補を絞った。候補遺伝子のさらなる選別も間もなく終了が見込まれ、マウスの作成を間近に控えている状況である。これまで、マウス表皮γδT細胞に相当する細胞はヒトでは存在しないとされてきたが、実際、明確に証明されていない。本研究により絞られつつある、表皮γδT細胞特異的遺伝子について、今後ヒトの皮膚組織にて発現の有無を調べることで、皮膚組織に存在する細胞の新しい理解に繋がる事が期待される。一方、表皮γδT細胞の無い状況における免疫応答を解析すべく、野生型マウスの脾臓細胞を移入したRAG欠損マウスへ接触性皮膚炎を誘導した。このマウスでは耳翼の肥厚がコントロールマウスと同程度であり、再現性を確認した。この結果は、TCRδ欠損マウスを用いた既存の結果と相反するが、TCRδ欠損マウスは表皮以外のγδT細胞の欠損も考慮される為、本研究で得られた結果は、表皮γδT細胞の免疫応答を考える上で、今までに無い、非常に興味深い結果である。以上の24年度の研究成果により、今後の解析に必要な準備を整えることができた。また、表皮γδT細胞の新しい理解も得られるとともに、25年度におけるさらなる進展が期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表皮γδT細胞に特異的に発現する遺伝子を同定する為の表皮γδT細胞の単離および比較群として利用する細胞についても単離が終了した。これら細胞について網羅的な遺伝子発現プロファイルの解析が間もなく終了することが見込まれ、遺伝子改変マウスの作成が可能となることから、進展は概ね順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
表皮γδT細胞に特異的に発現する遺伝子を同定し、この遺伝子がヒトの皮膚組織およびマウス胎児胸腺に存在するかを検討する。これと同時期に、表皮γδT細胞に特異的に発現する遺伝子をターゲットとし、表皮γδT細胞欠損マウスを作成する。作成したマウスについて、接触性皮膚炎を誘導し、表皮gdT細胞の機能解析を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
表皮γδT細胞特異的遺伝子の同定や、遺伝子改変マウスの作成の際、RT-PCRおよびreal-time PCRを行う為、DNAおよびRNAの抽出キット、複数のプライマーを利用する。一方、遺伝子改変マウスの解析に、維持費およびコントロールの購入が必要となる。作成した遺伝子改変マウスの解析にて、皮膚組織からサンプルを調整する為の試薬や、フローサイトメトリー解析用の抗体、炎症を評価する為のELISAキットが必要となる。主として、これら試薬に関して研究費の利用を計画している。
|
Research Products
(4 results)